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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第三部 11章 神殿にて

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02

「ココは、元の世界(アッチ)とは違うんだもんね。違って当たり前か―――――」


 一階まで下りてきたが、踵を返し階段を駆け上がった。

 瞬く間に屋上まで戻り、魔術陣を描く。


「私の世界の威光を見よ! 砕かれ、滅び、己が脆弱さを悔いるがいい。勇者の首を断たれ、「十一の獣」の栄光を約束された。凱旋の時は近い!原初謳いし(ティアマト・)世界砕きの(アモーレ・)獣兵(ベースティア)!」


 今まで幾度となく発動した咲和の為の咲和だけの魔術。

 魔力を伴って羽ばたく。天高く舞い上がり、眼下には美しい「リシュヌ法国」の街並みがある。そこには確かに人々の営みがある。それを砕くことなど誰にも許してはならないのだ。そう、誰もが誰かの生活を砕くことなど許されない。


 だから、()()()()()()()()()()()()()()()のだ。


「そんなことわかってた………だから、私は償わなければならない。たとえ、それが許されることがなくとも」


 膨大な量の魔力を纏い、「エ・テメン・アン・キ」へと落下する。それは大地穿つ流星が如く。

 音さえ超えるその速度は「リシュヌ法国」全土へと及ぶ衝撃を生み出した。

 咲和は真っ直ぐに「エ・テメン・アン・キ」を見据える。そして、遂に衝突した。

 屋上から鮮やかな神殿が崩れていく。大量の土煙と瓦礫を巻き上げて咲和は突き進む。


「やっぱり………()()()()()()()()()()()()()


 そう言って咲和が降り立ったのは、一階ではない。

 床には銀色の円が爛々と輝いている。

 どの階よりも遥かに広いそこは、地下一階。


 何を隠そう、玉座である。

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