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色鮮やかなレンガ造りの神殿「エ・テメン・アン・キ」を見上げる。美しいソレはしかしてどこまでも不気味だった。
神殿に足を踏み入れた咲和は内部の暗さに目を凝らした。何より異常なほど冷気が充満している。内部はそこだけが厳冬ように冷え切っていた。
中は一切の照明のない洞窟のような暗さだった。入り口から見て左奥に上へ上がる階段があるのが辛うじて確認できる。
咲和は部屋の中心まで進んで気が付いた。床に大きな青色と緑色のマーブル模様の円が描かれていた。
床の模様を横目に上の階へ移動する。
二階も一階と同様の部屋だ。床には金色の円が描かれていた。
そのまま三階、四階とどんどん上っていく。
そして、屋上まで出て来た。
「リシュヌ法国」の全土が見渡せる。雲一つない青空では太陽が燦々と輝いている。そしてここには茶色の円形。
(青と緑、金、青、白、赤、緑、茶…………)
各階に描かれていた円形の色を思い出しながら考える。
何かが足りず、何かが多い。
階段を降りながら思考を止めない。
(屋上を含めて全部で七階………マーブルが多い? …………あ)
思考の果てに辿り着いた。




