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「ん、んん…………は! 何が起きた、のだ?」
機械仕掛けの帝剣を握ったまま辺りをキョロキョロと見渡すイシュ。
「オレはココで生き残り、必ずエンキに会いに行く」
一歩を踏み出した。橋に亀裂が走るほど力強く。
「それは叶わぬ! 何故なら―――――」
力強い一歩にイシュは目の前の敵を見据え、機械仕掛けの帝剣を握る手に力を入れる。
「―――――余がお主を討つからだ!」
イシュも地を蹴った。
「ぬかせ、小娘!」
機械仕掛けの帝剣とグラディウスが激突した。
エンキドゥの一撃は先ほどの一突きよりも強力だった。しかし機械仕掛けの帝剣には罅はおろか欠けすらない。
イシュは気が付いていないがエンキと呼ばれた者の魔力に馴染みのあるエンキドゥだからこそ気が付いた。機械仕掛けの帝剣の表面には薄い膜のようにエンキと呼ばれた者の魔力が張られていた。
「小娘ェェェェェェェェェェェェェェエエエエエエエエエエエエ!」
「エンキドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウ!」
その身を削るように互いに機械仕掛けの帝剣とグラディウスを打ち合う。見た目だけで言えば少女に相違ない二人が打ち合うには、それは余りにも激しかった。
どちらかの命が尽きるまで続くであろう剣戟は唐突に終わりを迎えた。




