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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第三部 9章 籠城戦―1

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08

「安心しろ。これからがオレの全力だ」

 エンキドゥが駆けた。


 正面から突っ込んでくる。そう思った時には後ろに回っている。右だと思えば左から一閃。

 イシュがギリギリ反応できるレベルの速度。次の動作を読む隙も無い。

 上からの攻撃だと思えば下にいた。

 力強く帝剣を突き刺すがそれは避けられ、上からの斬撃が来る。それを機械仕掛けの帝剣を手放して避ける。直ぐに機械仕掛けの帝剣へと手を伸ばす。

 しかしそれすらも遅い。

 伸ばした手にはすぐにグラディウスが伸びてくる。手を斬り落とされる前に引いた。

 何度手を伸ばしてもすぐさまグラディウスが伸びてその手を狙う。


「邪魔だ」


 ついに、エンキドゥはイシュの腕を狙うことを止めた。


「さぁ、これでどう戦う。イシュ・アッガッシェル」

「―――――――――――」


 黄金色の瞳が涙に沈む。

 エンキドゥは無慈悲な一閃で機械仕掛けの帝剣に止めを刺したのだ。

 刀身の中心から二つに折れた。

 それと同時に「皇帝は死に(サクリフィコ・)魔王へ焦れる《トートゥム・》娘が一人キングゥ」が解けた。

 この魔術は魔術陣と魔力、そして機械仕掛けの帝剣を媒介として発動していた。その一部たる機械仕掛けの帝剣が折れたことによって強制的に解除されたのだ。


「母、様………あ、ああ………」


 機械仕掛けの帝剣の破壊はそのままイシュの心の崩壊を意味した。


「あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 耳劈く咆哮。突然のそれにエンキドゥさえも目を見開いた。

 魔術の解けたはずの機械の左腕に魔術陣が浮かび上がる。それは赤でも青でも白金でもない、新たな色を湛えている。


 それは翡翠を溶かした色。

 それはシュガルのあの魔術の色。

 それはシュガルの冥界の色だ。



「――――――――――――今、(アドヴェン)魔術王(トゥス・エンキ・)は帰(エト・インフェ)還する(ルヌス)


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