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「愛していた………だから何だと言うのだ………愛などあったところで何が救えると言うのだ! 愛故に母は死に、愛故にキングゥは死んだ! 無謀にもマルドゥクに挑み死んだのだ! 愛しい家族は護る為、愛しい娘の仇討の為に!」
頭の落とされたはずのエンキドゥが激昂する。
「ならば、愛などあってはならぬ! 愛故に滅ぶなど、そんなことあっていいはずがないのだから!」
その言葉と共にエンキドゥの背中が開いた。そして―――
「故に、この刃を以て愛を否定する! 我が刃を以て愛故の死に終わりを齎す!」
その中から一人の獣が現れた。
月光を受けて煌く白銀の長髪。怪しく光を湛える蒼玉の双眸。細く儚い線の華奢な躰。手には一刀のグラディウスが握られている。その姿はサナに似ており幼子の様だ。
「オレこそがエンキドゥ。キングゥの唯一の友にして、十一の獣を超える者!」
単眼の獣より現れた獣は高らかに宣言する。
「さぁ、屍を築け!」
握ったグラディウスをイシュに向け咆哮する。するとその咆哮に呼応するように魔獣たちも咆哮した。
それはスキルではなく、魔術でさえない。
それはたった一言の命令だ。
その一言が魔獣たちの士気を上げるには十分だった。
魔獣たちの攻勢が一気に増した。
(奴の一声で魔獣たちの動きが激しくなった……これでは呑まれかねん)
周りの状況を見てイシュは半歩後退った。




