08
「愛する者の為、我が矢は天地を穿つ」
矢は大地を穿ち、天にも届く黒炎の柱となった。中の様子を見ることは出来ず、ただ漆黒の炎が揺らめくのみ。
そんな黒炎の柱すら無視してウシュムガルは降り立ち、ムシュマッヘへと抱き着いた。そこに竜の姿はなく、愛らしい十一の獣が次女の姿があった。
「お姉さまぁあ! お姉さまぁあ!」
声を上げて泣くウシュムガルにやれやれと言った風に頭を振るムシュマッヘ。その姿は誰の目に映ろうとも、仲睦まじい姉妹の姿だった。
「もう大丈夫だ。ほら、なんともない」
折られたはずの腕を軽く振って見せた。既に怪我は完治している。あと一つない綺麗な白肌だ。
「よ”がっだぁぁぁぁあああ! よ”がっだぁぁぁぁああああ!」
腕に視線をやってまた泣いた。涙と鼻水でぐちゃぐちゃに崩れた顔のウシュムガルに、ムシュマッヘは大きく溜息を吐いた。
「全く……。可愛い顔が台無しじゃないか」
やはりそこには仲睦まじい姉妹の姿があった。
それこそが咲和の望む家族の姿。
誰にも絶つことの許されない、確かな絆だった。




