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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第三部 5章 「偽・十一の獣」―2

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07

天骸(てんがい)の座、彼方の崩天(ほうてん)深界(しんかい)の居城、極光の平伏、万象の境界。ただ崩れ去り、何一つ残ることはない―――」


 ムシュマッヘが唱える。

 天ではウシュムガルが弓を射るような体勢。その手には炎を纏った弓と先端が螺旋状の黒鉄の矢。


「――――これこの一撃を以て、灰燼に帰す。生きること能わず、刹那の死に感涙し咽び泣くがいい―――」


 音を立てて軋む弓。張り詰めた弦がいつ切れてもおかしくない。

 

そして、矢は射られた。




空気の壁を破壊し、光さえも捉えて矢は進む。

矢の通った場所の魔術陣の壁が音を立てて崩れていく。しかしその破片は地上に落ちることなく、矢へと曳き付けられる。

 真砕く虚妄の獣と二人の獣は動けないでいる。それはただ純粋な恐怖に因るものだ。

 叫びを上げることさえなく、狂うことさえ許されず、ただ見上げ、死を受け入れることしかできないほどの恐怖。

 心臓の鼓動は止まっていない。思考も明瞭。人格も崩壊していない。肉体的な死も人格的な死も訪れてはない。


しかしそれでも、彼らは既に死んでいた。



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