03
一息でアエリアエの懐に入り込み、その首へ衝怒の絲剣の一閃。
アエリアエの首は飛び、冗談のようにそこからは血が噴き出す。さながら赤いインクを撒き散らすオブジェ。
「次は貴方です。着物のお方」
衝怒の絲剣を振って血を飛ばす。クリミナトレスは銃口を向ける。
「貴方は、殺すことに抵抗がある」
一歩、前へ出る。
「だから、退けと言う」
二人の距離は徐々に縮まっていく。
「貴方は出来損ないだ」
クリミナトレスの目の前で、彼の顔を見上げながら笑顔で告げる。
「自分は、出来損ないでは――――」
「だから、貴方は引き金を引けないんです―――――――」
咲和は彼の言葉を遮って、衝怒の絲剣を握る手に力を籠める。しかし、クリミナトレスはその引き金に指を掛けることが出来ない。
「―――――敵意の排除が先だと言いましたよ?」
身体を捻り、後ろからの襲撃に衝怒の絲剣を振り抜いた。
斬られた右腕は宙を舞い、赤黒い煙となって消え失せる。
咲和の視線の先には、首を刎ねられたはずのアエリアエが立っていた。そしてその首は繋がったままだ。




