03
一方で、湖に浮かぶ城。
「「絶対に、帰って来なさい…………」」
六人を見送った後、残された者たちの中で二人の姉がただ茫然と立ち尽くしていた。
咲和の言葉の真意を悟った彼女たちにとって、彼女を笑顔で送り出すことなど到底できるはずもなかったのだ。
「ラハム、ラフム。湖に浮かぶ城を護るのだ。それがサナの願いであろう?」
見かねたイシュが二人に声を掛けた。
「「………貴女に言われなくて、そんなことくらいわかっているわ」」
「ならば、余らのすることは一つしかあるまい!」
そう言って、機械仕掛けの帝剣を胸元から引き抜いた。
「娘たちよ、お主らの指揮は余が執る!」
人間の娘たちの方を向き、イシュは高らかに声を上げた。
「ならば、十一の獣の指揮はワタシが執ろう。お二方もそれでいい?」
イシュに続いて、三女ウガルルムも声を上げた。
「「ええ。それで構わない」」
二人の姉と同様に、皆がイシュとウガルルムの言葉に了承した。
「「良し! 湖に浮かぶ城を護る! 我らが王の為に!」」
イシュとウガルルムの言葉と共に、皆が拳を突き上げた。二人の姉、ラフムとラハムを除いて。




