【改稿版】十一の獣は魔王と共に

第三部 2章 出陣

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「愛しい人の復活………そんなの、そんなのって…………」

　その事実に行き着いた咲和は両手で顔を覆った。

　あまりにも人間味のあるその感情に咲和の感情はグラグラと揺さぶられた。

　何故なら、それは咲和の感情と重なったから。

　大いなる母(ティアマト)への感情と似ていたからだ。

　咲和の願いには大いなる母(ティアマト)との生活も含まれている。

　だから、大いなる父(アプスー)の顕現を願うムンムの気持ちも咲和には理解できる。しかし、理解できるが――――――――――許容できるはずもなく。

「私は、貴女の願いを―――――――――――――砕、く」

　拳を握り締める。その拳で願いを握り締めるかのように、力を籠める。掌に血が滲む。

「たとえ…………そこに…………」

　血は零れた。