表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
1章 召喚

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/480

11

 二人の抱擁を受け入れて以来、咲和はやれることは総てやることにした。

 まず咲和は、クサリクを呼び出して、ムシュマッヘへの言伝を頼んだ。それは今後の世話係の任命と召喚時の態度についての謝罪だった。

 咲和にとって彼女も自分のことを案じてくれている一人なのだ。彼女(せんせい)と同じ一人だ。そんな人に辛い思いをさせたまま過ごすのは、とてもじゃないが咲和には無理だった。


(………怖かった。だけど…………今は)

 もう、悲しませたくないから。



 次いで、咲和は自室の本棚から何冊かを取り出して勉強机に運んだ。「トラウェル・モリス(この世界)」の常識や風土、歴史などを頭に入れておこうと思ったのだ。

 一冊を開く。どれもがアルファベットに似た文字で書かれ、その文章は英語に近い。しかし、度々、英語とは違う文章の並びや綴りの単語が出てくる。


(英語みたいだけど…………ちょっと違う?)


 それも当然だ。ココは元居た世界とは違う異世界。言語が同じである方がおかしな話だろう。

 そこで、ベルを鳴らした。

 すぐにドアをノックされる。


「サナ様、ムシュマッヘが参りました」


 パタパタとドアに駆け寄り、ムシュマッヘを部屋に招き入れる。


「どうぞ、何なりとお申し付けください」


 彼女は躊躇なく傅いた。


「あ、え………コレを、教えてほしいんですが………」


 先ほど開いた本をムシュマッヘに見せながら咲和は言う。それを彼女は立ち膝で覗き込んだ。


「「トラウェル・モリス(この世界)」についての本でございますね。かしこまりました。具体的に、何をお教えすればよろしいでしょうか」

「え、あ、……読めなくて、言語の勉強をしたいです。魔術なしで、皆さんと話ができるようになりたいです……」

「かしこまりました。では、紙をお持ちしますので、少々お待ちくださいませ」


 今一度傅き、ムシュマッヘは部屋を出ていく。



 ベルを鳴らした時よりも少しだけ時間をかけて、ムシュマッヘは戻ってきた。その手には大量の紙を抱えている。


「お待たせいたしました。では、お勉強を始めましょう」

「よろしくお願いします」


 こうして、ムシュマッヘによる「トラウェル・モリス」の言語授業が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ