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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第三部 1章 準備

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03

「咲和です。いらっしゃいますか?」

「どうぞ、開いていますよ」


 続いて訪れたのはシュガル・アッガシェル――「ナンナイ・クルウ帝国」が皇帝の盲目の姉――の部屋だった。


「失礼します」

「相変わらず腰が低いですね。もう少し堂々としてみてはいかがですか?」


 咲和が入ってくるのを見ると、シュガルはベッドから動かずに、その視線を開いている本に落したまま軽口を言う。


「外では堂々としてますからいいんですよ」

「そうですか―――――して、本日はどういったご用件で? 無用に(わたくし)の部屋に来たわけではありませんよね?」


 言外に用件がないなら帰れと言っている。しかし今回ばかりは咲和にはきちんとした用件があった。


「先の宣戦布告について相談がありまして」

「悪い事は言いません、(わたくし)には向かない案件です」


 やはり視線を動かすことなくシュガルは言う。


「いえ、貴女の慧眼は必要です」

「盲目の(わたくし)に慧眼とは、皮肉ですか?」

「あ………。すみません、悪気はなかったんです………」


 見ている側が気の毒になるほど、あからさまに気を落とす咲和。そんな様子にシュガルはようやく彼女に視線を動かして、盛大に溜息を吐いた。


「冗談です。まったく、王を名乗るのなら従者の軽口くらい聞き流しなさい」

「すみません……」

「で、相談でしたね? 私の浅知恵で良ければお貸しします。我らが王よ、何なりと」


 ベッドの上で首を垂れるシュガル。それに、咲和小さく笑んでベッドに腰を下ろした。


「これなんですが」


 と、自室で書いたメモを手渡した。

 シュガルはメモを受け取ると、閉じられた目を薄く開いて顎に手を当てた。

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