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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第二部 エピローグ

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 咲和が目覚めた翌日のことだ。

 ソレは然も当然の様に現れた。

 誰もが目を背けることが出来ず、誰もが動きを止めた。

 ただ一人咲和を除いて、湖に浮かぶ城(アルキス・メモリア)に住む全員が玉座に腰掛けたソレに視線を奪われた。

 深々と降り注ぐ月影を受け煌く白銀の髪は二つに結われ、その長さは身の丈とかわらない。純白ドレスに身を包んだ姿は花嫁の様だ。全体的に白いソレの中で宝玉の様な双眸は唯々美しかった。


「悪趣味な玉座ね」


 玉座には教皇ムンムが足を組んで腰掛けていた。


「貴女の容姿(みてくれ)に比べればまだマシですよ」


 その顔に邪悪なほどの笑顔を張り付けて、咲和は奪われた玉座に投げかける。


「私も好きでこの躰でいるわけではないわ。ただ、コレは唯一あの方が私に授けてくれたものだもの。無下にするなんてできないでしょう?」


 自らの躰を抱き、愛おしそうに頬を染める。

 咲和はその姿に顔を顰めた。しかし、未だ他の者たちは現状を飲み込めていない。何故、「ウェールス・ムンドゥス」の支配者たる教皇ムンムが「フィクティ・ムンドゥス」の湖に浮かぶ城(アルキス・メモリア)に姿を現し、よもや玉座に腰掛けているのか。


「その気味悪く染めた顔をどうにかしてくれませんか? 余りの悍ましさに首を刎ねてしまいそうです」


 腕を振るって、その手に衝怒の絲剣を握る。


「あら、恐ろしい。このような場所に長居するのは危険ね。では、手短に用件でも伝えようかしら」

 頬に手を当てながら流し目に咲和を見る。敵の本拠地であるにもかかわらず、ムンムの様子は余裕そのものだった。


 そして、告げられる。

 それは誰もが考えなかった言葉。

 同時に誰もが恐れていた言葉。



「私は、いえ、我々「ウェールス・ムンドゥス」は貴女たち「フィクティ・ムンドゥス」へと宣戦布告します」








 だから私は、この世界諸共、ソレを滅ぼす。

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