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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第二部 11章 帰還

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03

 咲和が目覚めたその日の夜のことだ。


「どうかしましたか?」

「個人的な言葉をお送りしていなかったので……」


 咲和の部屋をシュガルが訪れた。


「お目覚めを祝福します。イシュも大変喜んでおりました」

「シュガルさん」

「なんでしょう?」

「もう、やめませんか?」

「何をでしょう?」


 首を傾げるシュガルに、小さく溜息を吐く咲和。


「それです。本心を隠して言葉を飾る必要はありません」


 シュガルが湖に浮かぶ城に来て以来、彼女の咲和に仕える姿勢はいつでもテンプレートじみていて、心を感じることがなかった。

 故に、咲和はシュガルが己の本心を隠して、言葉を飾っているように感じたのだ。


「では、サナ様は私が言葉を偽っていると、お考えなのですね?」

「そう言うことではありませんよ。ただ本心を隠してまで、私に仕えている理由が気になっているだけですよ」

「それは、命令ですか?」


 思いがけない言葉に、咲和は瞬間言葉を失う。しかしすぐに彼女の望む言葉を理解した。しかし彼女の望む言葉をそのまま口にしては、本心を聞く機会は失われてしまうだろう。

だから咲和は、


「ええ。これは魔王たるキングゥからの命令です」


 ニコリと、少女のように笑む。しかしその笑みから汲み取れるのは、絶対に聞いてやる、と言う強い意志だけだ。


「そう、ですか………ならば仕方がありませんね」

「はい。仕方がありません」


 今度はいたずらの成功した子供のように屈託のない笑顔で応える。一方でシュガルは小さく息を吐いた。


「では、……………貴女様と二人きりの時のみ、私はその本心のみで言葉紡ぐことにしましょう」

「あ。妥協点を付けるのがうまいですねぇ」


 頬を膨らませてシュガルの妥協を受け入れた。本当であれば誰と過ごす時でも自分に対しては、本心で話してほしかったのだ。

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