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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第二部 10章 境界を渡る

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153/480

01

 溶ける。融ける。解ける。熔ける。鎔ける。


 暁月咲和の意識が深い深い闇の中に溶けていく。


 息もできず、音もなく、光もない。そんな闇の中へ溶けていく。


境界は曖昧になり、暁月咲和と言う存在は溶けて消えていく。


家族との日々が溶けていく意識の中を駆けめぐる。


(このまま、私は……)


 楽しさと嬉しさと愛おしさとほんの少しの痛みの記憶。そんな尊き日々が過ぎていく。


(あー。本当に―――――――)


 ついに咲和の意識が完全に闇と同化する。そんな時だった。


 残滓としか言いようがないほどの小さな小さな意識の欠片は、()()()()()()()


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