07
「「此処が貴女の部屋よ。好きに使ってくれていいわ。内装が気に入らないだとか、足りないものがあるというなら、あの仔たちに言いなさい。望んだものを揃えてくれるはずよ」」
玉座とは違い人間サイズの扉を開けながら、ラフムとラハムは言った。
「…………?」
部屋を一通り見て思わず首を傾げた。この部屋に不足なんてあるのだろうか、と。
部屋は学校の教室ほどの広さがある。天井と壁にはシミ一つなく、床には一切の埃もない。壁際に天蓋付きのベッド、中央には大理石―と思われる―で作られたローテーブルとソファが二脚、奥にはピアノまである。本棚には沢山の本が並んでいるが、そのどれもが驚くほど分厚い。インクと羽ペンの置いてある、勉強机のような素朴な木製の机もあった。入ってきた扉と別の扉があり、その先は浴室に繋がっていた。
咲和が考えうる最高の部屋が目の前に広がっている。これで内装が気に入らないだの、足りないものがあるなどと、口が裂けても言えなかった。
「「何か用があれば、机の上にあるベルを鳴らしなさい。誰かがすぐに現れるわ」」
勉強机の上に確かに金色の手持ちベルがあった。
「「それと、その服はすぐに着替えなさいね。王がそのような質素な格好は許されないわ。じゃあ、私達は私達でやることがあるから、着替えが済んだらベルを鳴らしなさい」」
二人はそう言って、咲和を一人残して部屋を出ていった。




