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祭壇へと上り、女神ヘラの近くに寄った。そして女神ヘラは応えてしまった
それは神代始まって以来、初めての神の堕落だった。
神の堕落が齎したのは、世界の均衡の崩壊だった。
温暖な春の続いていた神代に初めての冬が訪れた。それを恐れた神王ゼウスが女神ヘラに神域への帰還命令をだした。神王ゼウスの命令は絶対である。王女たる彼女ではその命令に意見することは叶わなかった。
しかし、全人類と全神々が神王ゼウスの命令に従う中で、ただ一人、愚かな女だけが刃向った。
そして、女はその刃を神王へと向けた。




