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大昔。本当に途方もないくらいの大昔だ。
あいつらに言わせれば神代と呼ばれる時代。
神代はその名の通り、神が在った時代だ。そんな時代にあって、女は稀有な魔力量の持ち主だった。
そんな女が信仰していたのは、神域序列二位の女神ヘラ。神域序列一位、主神ゼウスの妻だ。彼女は様々な女神を配下に持つ神々の女王だった。
女は貧しい身ながらも女神ヘラを奉る神殿へ毎日足蹴く通っていた。時たま供物を捧げることさえあった。
「あぁ、あたしの心の拠よ。あぁ、あたしの女神ヘラよ。今日もあたしと共に。。。。。」
そんなある日、女の前に女神ヘラが姿を現した。女はその美しさと荘厳さに言葉を失くした。そして、女は総てを捧げると誓った。
「貴女、いつもいつも飽きないのね」
「あ、あぁ………」
「どうしたの?あら、固まってしまったわ。ワタシどうしたら良いのかしら」
「あたしは………」
「ん?」
「貴女様に、総てを捧げます」
「そう、期待しているわ」




