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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第二部 7章 星の海

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02

 ふと視線を動かすと視線の端に何かが動いた。

(誰か、いる?)

 

 影だけだったが確かにそこには誰かがいた。

 不意に影が咲和の方を向いた。

 そして目が合った。真っ黒な影の中でその瞳だけが寂し気に赤色の光を湛えていた。色の印象とは異なる雰囲気を纏った瞳だ。

「また、来たのか。どうしてココに来た?どうやってココに来た?」

 影は捲し立てて問いかける。

 しかし、咲和はその言葉に返す言葉を持たなかった。彼女にはココがどこで、影が誰なのか分からなかった。


「なんだ、分からないのか? まぁ、なんだ。お前のことだ。無意識のうちに境界を越えるなんて、平気でやってのけるんだろうな。全く大したものだよ、お前は」

 誰か分からない影は一人で納得した。しかし、言葉は紡がれる。


「前みたいに急にいなくなるかもしれないからな、無駄話は終わりだ。ココからはお前にとって重要な話だ」

 影は立ち上がる。徐に星を掴んだ。そして星は砕かれた。

「どこにもいくな。あたしの話を聞いていけ」

 影は星の光を纏った指を振るう。すると咲和の身体は宙を浮く。もう一度振るうと星が墜ちてきた。墜ちてきた星はそのまま咲和の下に入ってきた。

星はクリスマスの飾りのようだった。

「座れ」

 言葉はそれだけで呪文のように咲和の身体を動かした。飾りの星にちょこんと腰かける。

咲和の目には既に影は影ではなかった。しかし、その形をうまく言葉に出来ない。認識を阻害されているかのような違和感があった。

「悪いがこうしておかないと後々面倒なんだよ。あたしの事を知らないようだったしな」

 その言葉は理解できず、しかし口を開くことは出来ない。


「では、話をしよう。これは愚かな一人の女の話」

 愛と狂気と訣別の話だ。

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