08
「さて、お主には国王の所まで案内してもらうぞ」
「そんなことするわけがないだろ!」
手を後ろに回され、ネガルに固定されているスィンは顔だけを背けてイシュの言葉に抵抗する。
「まぁ、いい。で、ココは左か?」
「だから教えないと言っている!」
スィンの言葉を完全に無視して、イシュは右へと進んだ。
*―*―*―*
「上か?」
「だから!」
下へと進む。
*―*―*―*
「右か?」
「………」
ついに言葉を発さなくなったスィンだったが、それすらも無視してイシュは右へと進んだ。
*―*―*―*
と、このようなことを数回繰り返したところで、イシュ達の前に大きな扉が現れた。
「ようやくだな」
「な、なんで……」
スィンは肩を落とす。何故彼女たちがここまで辿り着けたのか理解できていないのだ。しかし、それが理解できていないのはここではスィンただ一人だった。
理由は変哲もないものだった。ただ、スィン・カルラエが素直だった、と言うだけだ。
イシュが道を聞くたびに、無意識にだろうがスィンは正解の道へと視線が動いていた。その視線の移動をイシュは見逃さなかった。
結果、イシュ達はスィンと言う地図を手に入れたというわけだ。
そして、遂に謁見の時。




