表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
1章 召喚

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/480

04

 二人の案内でたどり着いたのは、明らかに人間用ではない巨大な扉――扉と言うよりも門と呼べるサイズ――の前だった。


「「さぁ、皆が待っているわ」」


 二人が扉を押す。その巨大さとは裏腹に二人の小さな手で簡単にその口を開けた。

 扉の先は、教会のような縦長の部屋だった。


 中央には赤色の絨毯が敷かれ、それが部屋の奥まで続いている。天井から延びる支柱には、蛇が口を開けたような意匠が施されている。見上げれば幾枚ものステンドグラスから、静かに月光が差していた。そのステンドグラスにすら大蛇が描かれている。

 不気味なステンドグラスから目を背け、咲和は奥へと目を向けた。そこには玉座があり、ココが玉座の間であることが分かった。そして玉座の前には十個の影が見える。玉座の奥の壁には、白銀の髪を二つに結った少女の巨大な肖像画が掛けられていた。


「「さぁ、行きなさい」」


 ラフムとラハムが咲和の腰を押す。


「「己が従者に名乗りを上げてくるのよ」」


 咲和は不安げに二人を振り返る。しかし、二人は小さく首を振る。


「「大丈夫。貴女なら受け入れられるわ。だって、私達が受け入れたのですもの」」


 その声は少女の様でも人間味の欠けたものでもなく、母さん(、、、)の声に似ていた。自分のことを愛しいと言ってくれた、あの母さんの声だ。咲和の頭に渦巻いていた混乱が紐解けていく。そして、凪の海の静けさのような冷静さが訪れた。



(――――キングゥ。十一の獣の指揮者にして、母さんの唯一の子)



 ラフムとラハムの言葉を頭の中で反芻し、月光を受けて煌く白銀の髪を靡かせて歩き出す。

 十個の影が振り返った。しかし影は濃く、その顔を窺うことはできない。一歩踏み出す。すると、十個の影は左右に道を開けた。咲和は気を引き締めるように手をぎゅっと握る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ