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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第二部 1章 越境

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06

「姉上、ネガル。待たせたな」

 イシュはその手に持てるだけのありったけのシーツを持って、二人の下に帰ってきた。

「あら、それはどうしたの?」

「そこな家の者が快く譲ってくれたのだ」

 イシュは笑顔で答える。その言葉が偽りであることを姉に知られることのないように。しかしシュガルはそんな嘘はお見通しだった。彼女の持ってきたシーツはその量から二人分以上の量だと分かった。そんな量のシーツをこんな田舎の集落に住む者が、突然現れたドレス姿の少女に手渡すわけがない。

 であれば、イシュが不当な手段で手に入れたと考えるのが妥当だろう。シュガルはドレスが乱れておらず汚れてもいないことから、殺しを行った可能性は切り捨てていた。ならば、それ以外。脅迫やそれに近しい行為によってシーツは略奪されたと考えることが出来る。

 シュガル同様にネガルもイシュが不当な手段を用いてシーツを手に入れたと考えた為、その表情には疑念が現れている。

「そう。ではネガル、シーツをお願いできるかしら?」

「………か、かしこまりました」

 憧れの人に名を呼ばれたことで、ネガルの疑念は一瞬で霧散する。そして、イシュからシーツを受け取ると、馬車の中に敷いた。

 それを横から覗いたイシュの顔は満足感に溢れている。それを見たネガルの表情も少なからず和らいだ。



 イシュとシュガルが馬車の中へ乗り込み、ネガルが手綱を握った。

「良し! では、出発だ!」

 イシュの元気のいい掛け声と共に、鞭は打たれ、馬車は出発した。

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