表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/58

イチ、観る


 ―――ツンツン・・・


「鋼くん、なんで仁美のこと無視するの?」

「・・・・・・。」

「ねぇってばー。鋼くん?仁美のこと嫌いなの?」

「いや、そうじゃなくて・・・今何時だと思ってるんですか?」

「もうすぐ二時よね。」

「はい正解。深夜な、深夜。オレ、だいぶ前に寝るって言ったんだけど?」

「今夜は寝かさないゾ、って言ったじゃん。」

「言えばいいってモンじゃないんだよ。『俺はパワハラもセクハラもするよ。』って堂々というクソリーマンじゃないんだから。」

「鋼くんは仁美にセクハラしてもいいのよ。」

「話聞けよ・・・いや、もう寝かせろよ・・・。」

「だから寝かさないって・・・」


 結局、その夜はそんなやり取りが続き、朝日がうっすらと見えるまで眠りにつけなかった。


「と、言うわけだから、イチがここに住み始めた時以来だけど、仁美さん除けに、オレと一緒に寝てくれないか?」

「・・・えっ!?・・・あ、う、うん・・・いいよ。」


 童貞のオレがカノジョたるイチに同衾にお誘いするのは静岡横断を自転車でするくらいのハードルの高さがあったが、睡眠も満足に取れないのは尋常じゃないほどのストレスとなり、背に腹は代えられないということで、気が付いていたら対策としてイチにそんな頼みをしていた。


「なんか、こーくんと付き合いだしたけど、今までと特に変化がないなって思ってたから、そーゆー変化はいいと思うよ。うん、いいよね・・・フフッ。」

「い、言われれば、そうだよな。なんか、ゴメン、オレも何したらいいかわかんなくて・・・。」


 ・・・冷静に考えればイチと付き合いだしてから仁美の夜這いが始まったんだよな・・・いや、だからといって別れることを考えるわけじゃないが、うん、循環してるなって思った。まぁ、イチも満足そうだし、イチとの距離が縮まる循環だからいいんだけども。


 そして、その夜。


「・・・こーくん、暖かいね。」

「・・・・・・お、おう。」

「フフッ・・・こーくんの胸、すっごいドキドキしてる。前はここまでじゃなかったと思うのに。」

「え!?そうなの!?仁美も鋼くんの胸に耳当てたい。」

「・・・仁美さん、“野暮”って言葉、知りませんか?」

「そうよ、イチ、野暮なんだから、私と鋼くんの夜を邪魔しちゃダメでしょ。」

「えっー・・・。」


 ・・・イチガード、効果なし。



 ―――――☆★―――――



「・・・あんまり意味なかったね。」

「・・・そうだな・・・」


 一夜明けて・・・まぁ、ほとんど寝てないのだが。学校の登下校中に顔色の悪いオレとイチは並んでつぶやく。

 マズいな、単純に寝られないのも普通に嫌だが、睡眠不足はイチの発育に良くない。タダでさえ、これまでの栄養不足でイチは同世代と比べても一回り以上小柄で、小学生低学年に間違えられかねないのだから、これからできるだけ巻き返さないといけない。栄養は食材を与えればイチが勝手にバランスを考えて調理するので現状割と満たしているかもしれないが、睡眠も大切だ・・・イチだけでも別室で寝かせるか・・・?


「・・・お母さんがうるさくてあんまり寝れなかったけど、二人で一緒に寝るのって暖かくて気持ちよかったよね。」


 ・・・うん、別室はない。・・・だとしたら・・・


「イチ、悪いけど、今日はオレ、学校休むよ。」

「え?・・・どこか体調悪いの?」

「大丈夫、帰ってやることあるだけだから。」

「あ・・・う、うん。わかった。」

「先生には連絡しておくから、イチは心配しないでいいから。」


 それだけ言い残し、オレは家に踵を返した。


 あの色情魔にオレの本気を見せてやる。



 ―――――☆★―――――



 そして、その夜。



「それじゃあ、おやすみ、こーくん。」

「おう、おやすみ、イチ。」


 ―――ピッ


 イチの手首にオレが日中作ったリストバンドがついているのを確認、部屋に仕掛けたシステムを作動させ、床に着く。


 ―――ガタガタガタガタ・・・


 来たか。当然寝室の扉には施錠している。鍵の複製というリスクも考えリストバンドのRFID認証で、リストバンドがないと基本的に部屋へは入れない。鍵を閉じ込めてしまうリスクも考え5桁のナンバーロックも付けたが、5桁の組み合わせは10の5乗パターン、さすがに突破できまい。


 ―――カチャ


 は!?扉が開いた・・・嘘だろ!?


「こんな鍵で私の愛を止められるなんて思わないでよね。こっちは全パターン試す覚悟でいるのよ。」


 一人ごちる仁美に頭を抱えるオレ。

 ・・・だが、鍵の突破は全く考えなかった訳ではない。最悪、扉を破壊してくることまで想定していた。

 当然、防衛線は張っている。


「フフフフ・・・あれっ?」


 ―――ドサッ


 侵入者が床に倒れる音が聞こえる。

 心配することはない。腕輪を持たない侵入者に対し、睡眠中の脳波になるよう誘導波を送っただけの強制睡眠状態になっただけだから。しかも・・・


 ―――ウィーン


 床に控えていた自動搬送ロボ・・・AGVが仁美を彼女自身の布団まで運んでくれる。ロボットアーム付きで毛布を掛けるところまでやってくれるから、寒さに凍えて目を覚ますこともない。良い夢を!!



 ―――――☆★―――――



 翌朝、オレは快眠後の顔色の良い仁美と、イチの作る朝飯を楽しみに待ちつつ仁美のボヤキに付き合う。


「ねぇ、鋼くん。あそこまでするなら、イチはいらないんじゃない?」


 翌朝、本気のオレに敗北した仁美がそんな負け惜しみを言ってくる。


「何を言っているんだい?イチと寝ることで得られる心の暖かさを知ってしまったんだ。今更やめられるわけがないだろう。」


 まさかオレがそんなこと、誰かと寝る、なんて言葉を口にするなんて思ってもみなかった。加えて、童貞だから、カノジョとかいたことないから、欲する度合いも低いといった部分も、カノジョができて、その暖かさを知って、恐らく高まってしまったと思う。アル中やヤク中の様な依存症もほんの僅かだが、気持ちを理解できてしまった。・・・やめらんねぇよな・・・。・・・なんか怪しい思考になってきた・・・この辺でやめておこう、うん、そんなことよりイチの美味い朝飯のことを考えていよう。



 ―――――☆★―――――



 オレとイチの睡眠不足問題も解決して、若宮さんと広小路さんを含めた4人で登校する道中に若宮さんはつぶやく。


「もうすぐ卒業だね。」

「そうだね。」

「いっちゃんとなおちゃんは中学に行ったら部活とかする?」


 女三人寄れば姦しい、とは言ったものの、さすがに時期が時期だけに話題は進路関係になっていた。

 この地域ではあまり中学受験は主流ではない様で、三人も普通にエスカレータで公立中学へ進学するのだとか。・・・オレってどうなるのかな?


「・・・志賀草君はいっちゃんと付き合ってるのよね?」

「・・・まぁ、うん。」

「何で手、繋がないの?」


 若宮さんがオレにこっそりと問いかけてくる。


「・・・・・・。」

「・・・ヘタレ。」


 なんだろう、この若宮さんの言葉というか、ノリに感じるいろは感は・・・


「あんまりいっちゃんを雑に扱うと愛想尽かされちゃうよ。」

「いや、イチはその程度で愛想を尽かしはしないよ。」

「・・・それだけ志賀草君にベタ惚れだって言いたいの?」

「そうじゃなくて、イチはそういうめんどくさい性格をしていない素晴らしいカノジョだってこと。」

「・・・それは失礼しました。・・・なんだ、ラブラブなんじゃん。」


 照れること言うなよ。こっぱずかしい。


「もう散々デートとかしたんでしょ?どこいったの?」

「・・・・・・え?」

「・・・え?」


 オレと若宮さんの間に沈黙が流れる。


 ―――バシッ!!


「若宮さん!?なんで無言ではたくの!?」

「かける言葉が見つからないのよ!!志賀草君、アナタ童貞!?」

「小学生に問うワードじゃない!?」


 逆に童貞じゃなかったら問題ある年齢だからな・・・見た目と今の立場は!!


「いいから、今週末はいっちゃんをデートに連れて行くのよ!!」

「う、うん・・・わかった。」


 鬼気迫る若宮さんに、なすすべもなく応じてしまうオレ・・・どうしよう・・・



 ―――――☆★―――――



「・・・それで、俺の所に相談に来たと。」

「まぁ、相談というか、事例があれば聴いておこうかと。」


 放課後、オレは職員室にいる吉野川の元を訪ねていた。転入の時の件でオレと吉野川は上下関係が曖昧になってはいたが、背に腹は代えられん、とデートのアドバイスを聴きに来ていた。こういう時、小学生のハリボテは便利だ。


「デート・・・デートか・・・」


 吉野川が考える素振りを見せる。


「本来であれば適当に水族館とか言ってあしらうんだが、志賀草だとそれを見透かしそうでなぁ・・・」


 渋い顔をする吉野川・・・これは雲行きが怪しくなってきたぞ・・・


「あのー、折角頼ってきてくれたこと申し訳ないんだが、俺もデートというものをしたことがなくてな・・・。」

「・・・・・・もしかして、吉野川先生って・・・童貞か?」

「・・・・・・・・・・・・。」


 無言は肯定と受け取ろう。・・・そうか・・・なんか親近感わくなぁ・・・


「いい歳なのに・・・笑わないのか?」

「・・・笑うもんか。」


 おどおどと問う吉野川にオレは一日千秋の想いを乗せて返答する。歳を取った童貞は笑われることじゃない、絶対に。


「しかし、困ったのは事実だな・・・デート未経験が二人寄っても文殊の知恵にはならんだろうよ。」

「・・・志賀草、もう一人童貞を呼ぶか?」

「三人寄れば文殊の知恵とは言うが、童貞三人集まってもなぁ・・・なんか妄想会にしかならなそうだよ。誰かいないの?交際経験豊富な教員仲間は?」

「友達作りができるヤツは割と非童貞だわ。」

「・・・わかる。」

「大体、学校で教わんないじゃん!!友達の作り方も、デートのしかたも、男女交際の手順も!!」

「ゆとり世代みたいなこと言うなぁ・・・いや、吉野川も割とゆとり世代か。」


 吉野川に尋常じゃないシンパシーを感じた・・・が、結局この場では何も解決しなかった。



 ―――――☆★―――――



 ―――キーンコーンカーンコーン


「えー、今日の総合の時間は『異性をデートに誘うなら』と『失敗しないデートプラン』をみんなで考えて討論してもらいます。」

「・・・は?」

「とりあえず、最初のテーマ『異性をデートに誘う』については男女別で6人グループを作って話し合ってもらい、最後に発表、異性グループに採点してもらいます。そんで、その後に男女混合グループで話し合っていいデートプランを作ってください。デートプランも発表してもらいます。」


 吉野川はクラスを完全に私物化していた。

 というか、小学生を頼るなよ。オレはありがたいが、吉野川は使えないだろ?むしろ子供っぽいとか呆れられる可能性もあるぞ。


「せんせー、デートの場所も誘い方もなんでも、どこでもいいと思いまーす。」

「そうだよね。好きな人とならどこでもいいよね。」

「うんうん、むしろちょっと失敗したってしょんぼりしてる男の子が可愛くてちょうどいいの。」

「あ、それ、わかりみが深い!!」

「松阪牛食べたい。」

「この授業意味ある?」


 なんか欲望丸出しな変な発言が混ざってたけど、クラスの女子たちの正論で吉野川はボコボコだった。



 ―――――☆★―――――



 放課後、イチと並んで帰路につく。


「なぁ、イチ・・・イチは、デート、どこ行きたい?」

「え? ・・・うーん・・・みんなが言ってたけど、わたしはこーくんとなら、どこでも幸せだよ。それこそ、お部屋デートのもあるって言うし、それでも全然いいよ。」

「・・・たぶん、お部屋デートって、一緒に暮らしてたら意味を成さないんじゃないか?」

「そうかな?」

「オレもよくわからないけど。・・・それにオレらの場合、お部屋デートだともれなく仁美さんも一緒だからね・・・。」

「あ・・・。そうだね。」


 オレがかつて休日にしていたことって基本的に遠出だったからなぁ、今のオレが車を運転するわけにもいかないし、電車に長時間閉じ込めるのもなぁ・・・何かないかな・・・


「・・・あ。」


 悩んでいたオレの目に映ったのは、公民館と、この地域の中学・高校の「定期公演」という文字、それは吹奏楽だったり・・・演劇だったり・・・


「・・・そうだ、劇でも見に行こうか。」

「劇?」


 そういえばかつてのオレは演劇をたまにだが見ていたな。


「イチは見たことあるか?」

「ううん、見たことないかな。・・・でも、見てみたいとは思ってた。劇とか映画とか。」

「それじゃあ、とりあえず、帰ってこの辺りで面白そうな公演がないか調べてみようか。」


 ・・・何なら東京の方まで出てもいいか。ここからなら電車で1時間くらい・・・新幹線だってあるし。



 ―――――☆★―――――



「やっぱ大宮って割と東京だよな。」

「こーくんの言ってることって冷静に考えるとよくわかんないけど、直感ですごくわかる。」


 結局、東京まで出なくとも良さそうな公演があったので、オレとイチは若干南下し、大宮駅に立っていた。オレはかつて、若返り前にはちょいちょい来ていた地だが、都市部は進化が早く、オレの持っていたイメージよりも都市化が進んでいた。


「イチ、はぐれるかもしれないから・・・」

「こーくん・・・うん!!」

「・・・・・・おう。」


 イチにはぐれない様に手を差し出すオレ、本当にはぐれない様にという目的のみで手を出したが、イチがあまりにテンション高くその手を取るものだから、急に意識してしまう。

 ま、まぁ、デートだからな!!このくらいしないとな。べ、別に手をつなぐくらいで動揺なんてしないわ、童貞じゃあるまいし!!・・・童貞だけど・・・も、もう、同衾は済ましてるんだし、この程度・・・


「こーくん、もしかして緊張してる?」

「ぎくぅ!!?」


 ・・・童貞丸出しで恥ずかしい・・・


「ふふ・・・なんか、こーくん、いつもと違ってかわいい。」

「そ・・・それは・・・オレへの評価としてはマイナスなのでは?」

「そんなことないよ。かわいいこーくんも好き。」

「・・・・・・くぅ・・・。」


 あー、ダメだ。緊張とトキメキで前後不覚になってきた・・・。


「い、行こう。早めに会場へ行こう!!」

「まだ、一時間以上あるでしょ?先にご飯食べてから行こう、って話だったじゃん。」

「・・・そうでした。」

「・・・なんかいいね、慌てるこーくんって。」

「そ、そう?」


 なんかよくわからんが童貞力がプラスに働いている!?


「なんか、もっと慌てさせたくて・・・いじめたくなっちゃう。」


 ・・・イチがニコニコといたずら心を孕んだ視線でこちらを見上げる・・・こんなところでイチのSっ気を目覚めさせてしまった・・・。



 ―――――☆★―――――



「こーくん、折角のデートなんだし・・・食べさせて?」

「んん!?」

「あーん・・・」


 あの体験はヤバかった・・・オレの心が持たない・・・これが若さか・・・

 いや、イチ特有のものか?

 ともかく、劇場に入るまでの間は終始イチにやられっぱなしだった。


 観劇中はさすがのイチも手を握るだけで、それ以上を推してくることはなかった。とはいえ、そこまでの間に手を握っていなかったら、恐らくオレは劇のどころではなかっただろう。成長を感じた。


「なんていうか、凄かったね。」

「そうだろ?結構劇って映画と違って縛りが多くて難しいんだけど、それでもあそこまで観客を魅了するんだから大したもんだよな。」


 公演が終わった帰り道、イチとの感想会みたいに語り合っていた。


「確かにそうだよね。映画と比べると・・・演出も限られてるし、一発勝負だし・・・」

「そう考えると、学生映画とかはどっちかっていえば演劇よりなのかもしれないな。一発勝負ではないけど、できる演出とかも限られてるし・・・。」

「学生映画?」

「もし中学とか、高校に行って、映画部とかあって、自主制作映画とか出してたら、見てみるといいかもね。なんか似た雰囲気あるから。」


 なんで部活紹介みたいになってるんだ?まぁ、話題としては割とタイムリーなのかな。


「さっきの劇でも、壁にナイフを投げて指してたけど、アレも壁に工夫がしてあって、刺さる部分だけくり抜いて、コルクとかの柔らかい、刺さりやすい板を張り付けたりしてるんだよ。普通の木だと刺さりにくいから。」

「あ、そうなってたんだ。」

「結構みんな工夫するんだよ。だからオレも劇って結構見るんだよな。映画とは違って。」

「こーくんは映画嫌いなの?」

「うーん、別に嫌いとまでは言わないけど、プロが作るヤツ、特に最近のになればなるほど古典的な工夫をしなくなってきていてなぁ・・・とは思ってる。」

「・・・こーくんは何視点で映画見てるの?」


 そんなことを話していると、目の前にはオレのマンション。


「帰ってきちゃったね。」

「そうだな。」

「デートも終わりかって思うと寂しいね。」

「まぁ、気持ちはな。どうせこの後も一緒だし、デートならまた行けばいいさ。」

「・・・うん。」


 ―――ガチャ


「鋼くん!!・・・その女は誰っ!?」

「アナタの娘ですが・・・仁美さん。」


 ・・・あぁ・・・帰って来てしまった・・・



 ―――――☆★―――――



 イチとのデートは何というか、楽しいことは楽しいが、それ以上にホッとする。イチを知れば知るほど心が暖まっていくのを感じる・・・いや、心の傷が癒えていくのを感じる、と言った方が正しいかもしれない。同じような傷を持ち、それを共有して、深い関係となった、それはオレにとっても、イチにとっても、最も近い関係で、互いの傷を理解した相手の距離が近づけば近づくほど、傷が癒え、それを相手に感じることで更に傷が癒える。これ以上に良い関係があるだろうか。


 ―――ガチャ


「イチの美味い飯で、更に癒える、っと・・・うおっ!?」


 独り言ちつつ自室の扉を開けると、そこには大きな水槽があり、数匹の魚が悠々と泳いでいた。


「やっと帰ってきた。」


 水槽の奥から聞きなれた声が聞こえる。


「その声・・・いろはか?」

「そうよ。あ、コレ、北陸土産ののどぐろ。」

「気持ちも、土産の品も嬉しいが、状態がなぁ・・・なんで生きてるんだよ。」

「その方が鮮度がいいと思って。」

「なんだろう、有難迷惑、とも違う言葉にできない気持ちしか出てこない。」

「道理が通っている上に、感謝につく不満みたいなものだからよね。」

「そう、そんな感じ。」

「さて、そんな気持ちのところに上乗せする感じでアレなんだけど、もう一つ話が合って会いに来たの。」

「なんだ?マスコットみたいな見た目のクセに神妙な顔して。」


 いろははオレのおちょくりにも動じずに言葉を紡ぐ・・・


「鋼君の、若返りに関してだけど・・・」


 いろはの紡ぐ言葉・・・最後の問いにオレは、不満を言うこともできず、常に何かしらを思考するオレらしくもなく、空っぽの頭になって立ち尽くしてしまった。

どーも、ユーキ生物です。


いわゆる日常回というやつでした。

日常回に対するプロットが雑過ぎて書くのに時間を取られましたが、何とか目標の2月中はギリギリ達成できました。(このあとがきは2/28の午前中に書いてます。)


今回の内容ですが、開幕からしばらくベッドシーンでしたね(笑)童貞なのに(笑)。そんなツッコミを書きながら思ったので、下書きの末端に「あとがきでベッドシーンについて」とか忘れない様に書いてました。

ちなみに今回の中にあった無駄にメカメカしいシーン、「70歳童貞、本気のものづくりシリーズ」として、各時代に予定してます。今回は小学生編のものづくりです。鋼はものづくりのプロでしたので。

あと、物語の1話(プロローグ除く)で今の鋼は北埼玉にいるという話ですが、具体的地名を出してませんでしたね。今回のデートで大宮を出したので・・・今の地は深谷を想像してます。本庄と迷いましたが。そんな埼玉舞台の作品です。今後ともお願いいたします。


次回は・・・3月20日辺りに投稿できたらな、と思ってます。

→3/15追記:3/27に延期します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ