表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/171

信長との対話

天正二年(1574年)十一月

各地を回りながら帰っていたら遅くなってしまった。その間に上杉と毛利から援軍要請が来ていた。道中にそれを聞いた俺は各地に指示を出した。


宇山久信、牛尾久信、宇喜多直家

総勢二万五千を毛利の援軍として向かわせ、

遠藤秀清率いる大筒隊、遠藤俊道率いる鉄砲隊、中井久家の合計二万を越後に派遣した。


毛利援軍総大将は宇山久信、越後援軍総大将は中井久家とした。


(皆にはすまんことをしたけど、これが終われば落ち着くはずだから...頑張れ!)


俺は援軍に行ったものを心の中で応援した。


(さて、三才になった長寿丸の傅役も決めなくては...)


帰ってきたので長旌に任せっきりだった内政について報告を聞きながら傅役を考えていた。


(本当なら常光に頼みたいが遠いしな...いや、居城を変えれば問題はないか?そしたら久綱が遠くなるか..)


「...殿聞いていますか?」

長旌は聞いてなかったので言ってきた。


「すまん、考え事をしていた」

長旌は溜め息を付いて続きを報告した。


数日後


俺は横路正光と秋上久家を呼び出しておいた。

「殿、お呼びとのことで参上つかまつりました」


「殿、何かありましたか?」

「二人には長寿丸の傅役を頼みたい」

二人は驚いた。


「しかし、我らは七老中ではなく、若年寄にございます!」


「そうです!これでは長寿丸様の後見が弱いのではありませんか?」


「いや、問題ない二人に任したいと思う、頼む」

俺はそう言って頭を下げる。


「分かりました。お受けさせていただきます」

「微力ながらお支えしてみせます」


「二人共頼むぞ」

こうして長寿丸の傅役が決まった。


傅役筆頭、秋上久家 次席、横路正光

家臣 本城隆光の子 太郎丸 北畠具教の子、亀松丸

となった。


亀松丸は長寿丸より四つ歳上だが問題ないだろう。

ちなみに剣術は久家に任した。免許皆伝しているから問題ないだろう。



傅役が決まって三日後

俺は一人の老人に会っていた。

「辰敬、久しいな。隠居しているのに呼び出してすまない」

老人の名前は多胡辰敬たこときたか、多胡重盛の父親だ。


「殿、お久しゅうございます。此度は領地のことで御座いましょう」

辰敬の方から言われてしまった。


「重盛のこと、すまなかった。お主の言う通り領地についてだ」


「我が子は殿のお役に立てましたでしょうか?」


辰敬は聞いて来たので頷き、


「七老中としてよくやってくれた。これからももっと活躍して貰いたかった...」


そう言うと辰敬は涙を流していた。


「さて領地についてだが、誰か引き継げる子は居るか?」


「はい。我が孫の平左衛門がおりますがまだ十二と領地を治めるには若すぎます」


俺は引き継げる者がいることには安堵したが若すぎることに悩んだ。


「お主は七十七と高齢だが後見は出来るか?」

「申し訳ありませんがいつ死んでもおかしくありませんので不可能にございます」

重盛の家臣もほとんどが亡くなってるのでどうしようか悩んでいたら


「殿、平左衛門を小姓としてお引き立てしていただけないでしょうか?それと、我が領地につきましては平左衛門が殿に認められるまで預かって頂けないでしょうか?」


俺は驚いた。辰敬は領地を返すと言ってるようなものだからだ。


「良いのか?お主ら親子二代で広げた領地だぞ?」


「構いません。しかし、認められたら必ず返していただけると御約束をしていただきたく思います」


辰敬は頭を下げてお願いした。


「わかった。約束しよう。後日平左衛門を連れて来い」


「ははぁ、ありがとうございます」


それから数日して辰敬が平左衛門を連れてきて俺の小姓として直景と共に働くのであった。


伊賀 上野城

ここに三人の男が集まっていた。

「今回使者として来たのにこのようにしていただきありがとうございます」

男の一人が二人に対して頭を下げる。


「なに、伊賀三上忍が揃うなどそうそうない。それで急ぎの用件とは何事か?」

正永は用件の方が気になった。


「尼子義久殿に繋いでいただきたい。殿からの書状も預かっています」

半蔵は頭を下げる。


正保は悩んだ。今義久は出雲に戻ってしまってるからだ。


「殿は出雲に帰られている。ここから急いでも二ヶ月はかかってしまうが良いなら殿に書状を書いておくが?」


半蔵は悩んだが直接行くことにした。


「お願いできますか?私が直接行きます」

半蔵は正保に、書状を書いてもらい出雲に急いだ。

「忍としては半人前だな...」

残った正保と正永は二人で話していた。

「武将としてならあれでいいかも知れんが忍としてはダメだな」


「せめて久経のように表と裏を扱わねばな」

正永と正保は久経を高く評価していた。


「伊賀三上忍と言われていたがもはや我らだけになってしまったな」


「我らも殿に仕えその功績で領主となったが忍の本質を忘れぬようにせねばな...」

二人は領主として忍として生きていかねばと考えを改めていた。


天正二年(1574年)十二月

俺は護衛に隆基と春政、鬼兵隊二百人を引き連れて人質となっている信長に会いに来た。


信長と帰蝶は忍衆五十人、常備兵四百人体制で二十四時間見張っている。


世話をする者をつけようとしたら帰蝶は

「侍女がいるので問題ない。殿に関しても二人小姓を連れてきてるのでいらない」

と断られた。


その来ている小姓が名人久太郎こと堀秀政ほりひでまさだったのはものすごく驚いた。


俺が行くと信長は帰蝶に膝枕をしてもらい縁側にいた。俺に気がつくと


「何の用だ?殺されに来たか?」

と言ってきて一瞬で周りの空気が殺伐とした。


「最早、その腕ではまともに斬り合えまい。話をしに来た」


俺は隆基、春政を信長は秀政ともう一人の小姓を後ろにつけて部屋に入った。


信長達は全員丸腰だ。俺達は脇差しだけ差している。


「それで話とは何だ?」

信長が聞いてくる


「南蛮についてどこまで知ってる?」

俺は信長が南蛮の考えを分かっていると答えたので聞いた。


「貴様に話す必要はない」

信長は話す気になれなかった。


「そうか、俺が知ってることを話そう...」

俺は南蛮のこと、キリスト教のこと、十字軍のことなど多くのことを話した。


信長は物凄く驚いたりしていたが途中から深く考えるようになった。


「南蛮の知識を手に入れて南蛮と並ぼうとするのはいいが南蛮人も馬鹿じゃない。最新技術など教えてはくれない。だから、南蛮の技術を応用して新たな物や技術を造り出す。俺はそうしている」


「絵空事にすぎん。そう簡単に出来ることではない」

信長はそう簡単に出来ていれば今頃日ノ本どころか世界を取れると思っていた。


「なら、見せてやる。南蛮の知識と技術を応用し職人達が作り上げた尼子の最高級傑作の1つを」

俺はそう言って部屋を出た。


「信長様、これは好機では御座いませんか?」


秀政は尼子の力の源を知る好機だと思った。それは信長も思っていた。知ることができれば、織田領でも行い、更に発展させることができると思った。


しかし、信長は織田と尼子の技術の差が大きいことに衝撃を受けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ