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決戦(前編)

二日後、陣地が完成し砲撃準備ができた。

「よし、いつでもやれるな」

「はっ!いつでも撃てます」

秀清は準備万端だった。


「よし、放て」

「全員撃て~!!」


秀清の号令で三百個の加農砲が一斉射された。

発射時の音が合図で両翼からも砲撃が始まった。


弾は織田陣地の四列目に着弾、その周辺にいた者は大ケガか死亡した。


「何事か!」

信長は一番後ろの六列目の本陣にいた。

「敵の砲撃です!四列目に届きました!」

「直ぐに勝家を突撃させろ!」


「伝令!!敵左翼が突撃してきて柴田様が向かわれました!」

「伝令!!敵右翼が突撃してきます!滝川様が出陣され誘導を始めました!」

いよいよ始まったな!


「長秀、後は頼むぞ...」

「御意!」

信長は本陣を後にし奇襲部隊は敵本陣を目指すべく遠回りで攻めにいった。



一方尼子側

尼子義久

砲撃から始まって重盛達は柴田と当たったらしい。

「伝令!左翼、波多野勢が突撃を開始!鉢屋久経様が奇襲のため一時離脱されました」

久経は、奇襲で敵を攻めるか。


「敵中央はどうか?」

「まだ動きはありません!」

あれだけ撃たれてまだ出てこないか?


「秀清と、大筒隊に伝令!射程をどんどん短くしていき、敵の陣地全体に砲撃を開始しろと伝えよ」

「はっ!」

伝令と周囲の警戒は忍衆と鉢屋衆が行っている。

さて、信長...どう動く..。


一刻後

「急報!波多野勢が敵に誘われ、敵大筒の攻撃を受けています!」

「急報!多胡重盛様、敵鉄砲隊の攻撃を受け重症!久家様が建て直しのため兵を引いています」

「なんだと!」

俺は驚いたが続々と伝令は来た。


「伝令!波多野勢、荒木氏綱様討死!」

「伝令!!鉢屋久経様が敵陣に突撃!奇襲をされました」

久経が敵陣に入ったか...。


「左翼の常光に突撃を命じろ。進退の全権を預ける」

「ははっ!」


尼子左翼

本城常光

「殿からの伝令です。突撃せよ、進退の全権を預けるとのことです!」


「わかった。波多野勢はそのまま突撃、春政と元親にも突撃し、久経を援護させろ!」

「はは!」


「殿の所で鍛えた力見せてもらうぞ春政...」

常光は一人呟いた。


春政と元親は突撃を開始した。

「敵は大筒を撃ってくる!敵の懐に飛び込みテストゥドで陣地を制圧するぞ!」

「おぉぉぉ!!」

「進め~!」

春政の号令で左翼一万が突撃した。


波多野勢は立て直し、久経が一列目に突撃したのを見て突撃を開始した。


滝川勢は波多野勢と春政、元親と交戦開始。

陣地一列目は河尻が指揮する五千の兵士が殿を務め鉄砲隊を下がらせていた。久経は河尻と相対し戦っていた。


二列目は、羽柴秀吉..いや、今孔明が指揮する軍が待ち構えていた。


尼子右翼

宇山久兼

重盛が重症で運ばれ多胡軍は壊滅状態に近い...。久家がまとめあげているが恐らく、持たないだろう...。


ここは引かせて籠るがいいか...。


「具教殿、私は久家と幸盛を救いにいきます。全員でここを守りましょう。敵の鉄砲が届かない所では貴方の軍が最強ですのでお願いします」


「分かった。こちらは準備しておく。二人と軍を任せた」

「それでは失礼」

宇山久兼は兵を率いて二人を救出しに向かった。


そこでは柴田勝家の精鋭が尼子兵を殺しまくっていた。

「味方のところまで引け~!!」

「かかれかかれ!亡くなった者達への手向けだ!!」

柴田勝家の激に兵士達の勢いは上がっていく。


「皆退け~」

久家は必死に退いていく。

久家は陣地からこちらに向かってくる軍が見えた。


「味方が来たぞ!急げ!!」

久家は久兼と合流することができた。


「久家、幸盛はどうした?」

久兼は聞いたが分からなかった。


「撤退の最中はぐれましたので分かりません」

久兼は久家と軍だけは戻そうと考え直し、

「陣地まで引くぞ。具教殿が待ってる」

その事を聞いて理解した久家は全軍に徐々に後退するように伝えた。


その頃幸盛達は近くの森の中にいた。元々元盗賊等が多かった幸盛の私兵は森で隠れるのは得意な者が多かった。


「幸盛様、味方は陣地まで引くようです。近くで具教の軍が用意をしています」

伝令の忍は状況を説明した。


「では、俺達は後ろを突こう...」

「正気ですか!こちらは二千と少し、相手は二万はいますよ!」


「鬼神隊が出れば問題ない。攻め込む時は一気にいくぞ」


半刻後

予定の所まで下がった久家、久兼は、具教と合流した。


「お前達やっと織田共が来たぞ!奴らを根絶やしにし信長の首を取るぞ!!」

「おおおぉぉぉぉ!!」

「突撃~!!」

「おおぉぉぉ!!」

鬼神隊が柴田勝家の精鋭部隊と衝突した!


「かかれかかれ!」

「殺せ!殺せ!」

両軍の衝突は激しかった。前で倒れた者や死んだ者等踏みつけて両軍前に出た。


前回のような一方的なことにはならなかった。

柴田勝家は鬼神隊相手に四人で一人相手にしていた。普通の兵なら問題ない鬼神隊だが柴田の精鋭だけに殺られる者も出てきた。

久家と久兼は軍の建て直しを図った。


尼子軍左翼では陣地を四つ目まで攻略し五つ目を攻略しようとしていた。


しかし、半兵衛の策により挟撃を受けたり、投石などを受けていた。


久経と合流した春政、元親はテストゥドで守りながら進んでいたが激しい攻撃に防戦一方だった。


「何とかして突破しなければ...」

春政と元親は焦ったが

「二人とも焦らず。ここは確実に行けばいい。それに引いた波多野勢と常光殿が何とかしてくれるはずだ」

久経は左翼本陣に伝令を送っていた。


狙撃隊を動かして指揮官を排除、また、長距離からの援護射撃を頼んだ。


常光は狙撃隊に命じて既に敵の見える所まで潜ませていた。


「常光殿も、久経もこき使ってくれるな..」


「仕方ないですよ~それだけ我らが優れているのですから」


「そうですね~さっさと指揮官や鉄砲隊を潰しましょう」

善住坊、城戸、道順はこの状況を楽しんでいた。


今までまともに動けなかったのがついに戦場で活躍できることを喜んでいたのだった。


「全員いいな?今回は一回目は精密射撃する。二回目からは釣瓶打ちをするが全員必ず当てろ」

「おぉ...」

善住坊が全員に指示をする。


「狙え.....撃て!」

狙撃隊最初の五百人は確実に当てていった。


その当てられた中に半兵衛もいた。

「半兵衛ー!!」


秀吉は、丁度影になった場所にいたので助かった。しかし、河尻秀隆は撃ち抜かれて半兵衛は倒れていた。秀吉は必死に近付こうとしたが周りの兵士達に止められ影に隠された。


今の射撃で河尻秀隆、鉄砲隊指揮官伊藤長弘、

仙石秀久、宮部継潤などと多くが殺された。


二回目の射撃が終わると久経達は一気に攻めた。

「今だ!突撃!!」

テストゥドを崩して一気に五列目を攻めた。

「な、何をしておる防げ!!」

秀吉は叫ぶが狙撃隊によって指揮官と、鉄砲隊を相次いで撃たれるのを見ていて皆恐怖して動けなかった。


「ひ、秀吉様....」

半兵衛はかろうじて生きていた。


「半兵衛!」

秀吉は、運ばれた半兵衛の側に駆け寄った。

「秀吉様、この戦は負けにございます。直ちに六列目に退き、本陣に報告をしてください。今ならまだ間に合います」


「もう、喋るでない!必ず助かるからな!」

秀吉は励ますが助からないことは分かっていた。

頭の方は兜のお陰でずれたが胸に一発当たっていた。


「もう助からないのは分かっています...。官兵衛に伝えて下さい。貴方の息子は生きています」


それを聞いた秀吉は驚いた。官兵衛の息子は殺せと命じられていたからである。


「秀吉様と..初めて...あった庵に..います...」

「半兵衛?」

そう言い残すと半兵衛は息絶えた。


「半兵衛~!!」

秀吉は泣いていたが側にいた小六が殴り


「半兵衛の伝言を忘れたのか!早く指示しろ!ここの大将だろうが!!」


小六に殴られた秀吉は直ぐに側にいる者に伝令を出した。六列に撤退と本陣に全軍の退却を

するように使いを出した。


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