甲賀の忍び
立原久綱
「甲賀と伊賀の忍びを召し抱えとは」自然とため息が出てしまう。繋がりも無いのに出雲まで来てくれるかどうか、それよりも「会ってもらえるか分からない」という現実に辛くなっていく。
そろそろ、甲賀に入るがどこに行けばいいのやら。また、ため息が出てしまう。
近くの村で話を聞くことにした。
「すまんが誰かいないか」一つの家を訪ねてみた。
「はい、どちら様でしょうか?」家主が聞いてくる。
「甲賀の里があるところを知らないか?甲賀の忍の長に会いたいのだか」
家主は「里の位置は知りませんが甲賀の忍びの家なら知ってますが」と言うので
「教えてはくれないか?」と言うと道案内をしてくれることになった。ただし、有料で。
渋々銭を払いその忍びの家に着いた。
「誰かおらぬか」と問いかけるとその家の扉が開き男が出てくる。
「なんか用か?」
「お主が甲賀の忍びで間違いないか?甲賀の頭領に会いたいが繋ぎをして貰いたい」
そうすると男は手を出し
「銭」と言った
またか!と思い銭を渋々出した。銭を渡すと男は
「明日まで待ってくれ。頭に聞いてみる」と言って家の中に戻ってしまった。
...一人取り残されたので近くの民家に泊めて貰った。予想通り銭を取られて。
次の日、男の家に向かうと男と別の男が待っていた。
「お主が頭領に会いたいって言った奴か?」ともう一人の男が聞いてきた。
「主の命で甲賀の忍びを召し抱えたくてここへ来た。」
聞いた男は驚き
「頭領のところに案内する」と言い案内をしてくれた。
案内された場所は山の中腹ぐらいのところにある一回り大きな家だった。
部屋に通されて待っていると案内してくれた男と別の男がやって来た。
「私がこのあたりの甲賀の忍びをまとめている望月出雲守と言う」
名前を聞いて一瞬イラっとした。出雲守と名乗ったからである。
「私は出雲尼子家、尼子義久様が家臣立原久綱と申す。」
「それで、私達を召し抱えたいとは一体どういうことで。」
「わが主は頭領は知行千石と武士として迎え入れて他の下忍も武士と何ら変わらない待遇をするとのことだ」
苛立ったので勝手に石高を減らしたのであった。
「なんですって!」それでも望月出雲守は驚いていた。
驚くのも無理はない。忍びが武士と変わらない待遇などこの時代にはありえなかったからである。
「今すぐお受けしたいが何分他の依頼がありすぐには行けません。なので私が行くまで代理の者を送りたいのですがどうでしょうか?」と望月は言ってきたので
「その依頼はどれくらいかかるのですかな?」と問うと
「恐らく、長くて一年ですね」と答えた。
久綱は悩んだが「その代理の者はあなたに劣らない腕の持ち主と思ってもいいのですか?」と、問うと
「わが娘ですが腕は確かです。」それを聞いて驚いた
「娘!代理がですが!」
「ええ。腕だけで言うなら問題は無いです」
流石にどうかと悩んだが仕方ないので代理が娘なのを認めた。
「仕方ありません。認めましょう。ただし、あなたが一年経っても来ない場合は
禄を減らしますがいいですね」と条件は付けた。
「わかりました」望月はそう言って交渉は成立した。
久綱は伊賀に向かわないといけないので書状を書いたものを望月に渡し出雲に向かうよう指示をした。
はぁ、次は伊賀かと内心ため息ばかり出るのであった。
忍びの情報ってほとんど残ってなくて調べるの大変ですね~
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