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波多野の臣従 新たな家臣

天正元年(1573年)九月

月山富田城

義久の元に荒木村重が謀反をしたと久秀から書状で伝えられた。裏で久秀が動いたらしい。これにより織田の主な軍は


加賀 柴田勝家 一万五千

東美濃 滝川一益、織田信忠 二万五千

対石山本願寺 佐久間信盛、松永久秀二万

長島一揆 織田信長 丹羽長秀 三万

丹波攻め 明智光秀、細川藤孝 二万

摂津有岡城攻め 羽柴秀吉 一万五千

伊賀攻め 織田信雄、北畠具房 一万

だと言う。


摂津まで攻め落とせば織田を裏切り佐久間の軍を後ろから攻めると書いてあった。京に入れば茶をもてなすともあった。


「久秀殿も何か仕掛けているな...考えることがえげつない」

俺は久秀に会えることが楽しみだった。


顕如殿に書状を送り、もし松永軍が佐久間軍を攻めたら一気に飲みほしてくれと書状を送ることにした。もちろん久秀が味方だと書いて

そうこうしてる内に波多野からの使者が来た。重盛の書状も持って。


書状を読んで状況は理解した。

「分かった、波多野の臣従を認めよう。すぐに援軍を出し、具教に丹後を攻めるよう知らせを出せ」


「ありがとうございます」

使者は頭を下げてお礼を言った。

この後すぐに行動に起こした。


播磨制圧組二万三千を明智光秀、細川藤孝にあて、但馬の北畠具教、因幡の倫久達三万で丹後を攻めさせた。降伏は認めず、一色一族を根絶やしにする為に。


「さて、丹後、丹波を手に入れたら次は摂津と若狭か...そこさえ落とせば京は目の前か」

ここを制圧したら当分は守りに入るか...。

俺は今後の予定を考えていた。


「しかし、織田は全戦力で守りに来るだろうな...」

久秀からの書状を見ても十万を越えていたのでこちらもそれ相応な軍が必要になってきた。

「波多野、小寺は参加させるとして、毛利を呼んで来てくれるものか...」


毛利の扱いに困った...。毛利は領地を守る為に戦うと言っていたからだ。


「一応その時になったら頼んでみるか」

そう考えることにした。


その頃織田信長は長島一向一揆を皆殺しにしていた。一向一揆は石山本願寺へ行くことを認めてもらう代わりに降伏したが、信長は出てきた門徒や民を根絶やしにさせた。長秀などは止めようとしたが止まることはなかった。


こうして長島一向一揆勢一万五千を皆殺しにさせた。


「ふん、出て来たら他愛もない」

信長は攻め辛いので兵糧攻めをし今回の降伏を好機と見て皆殺しにした。残しておくと織田家の敵が増えるからである。


「長秀、京に戻り尼子の来襲に備えるぞ...」

「..ははぁ...」


京に戻るついでに伊賀に立ち寄り信雄達と合流し皆殺しにして伊賀も平らげるのであった。

この頃には信長は第六天魔王と呼ばれていた。

信長は面白がって笑うだけだった。


場所は代わり春日山城

昌信は必至に三国の同盟について説明するが謙信は頭を縦には振らない。


「我らに何の利がある?聞いていればほとんど、お主達か伊勢(北条)に利があるばかりではないか!」


景綱は聞いていて苛立っていた。元々敵同士であるのにこんな条件飲めるかと思っていた。

黙っていた謙信は閉ざしていた口を開いた。


「我らは最早、伊勢とは同盟せぬ。」

その言葉に昌信は項垂れた。


「しかし、武田とは条件次第で結ぼう」

そう言うと皆が驚いた。


「御屋形様!武田は敵でしたのですぞ!」

「そうですよ御屋形様!越中のことを忘れられたのですか!」

と反対が多い。


「今の武田は織田と戦っておる。我らと同じくな」

「条件とは如何なるものにございますか?」

昌信は恐る恐る聞いた。


「北信濃の割譲と伊勢との手切れだ」

昌信はやはりかと思った。


「割譲は分かりましたが、北条との手切れは出来ません。しかし、上杉が北条を攻めるとき武田は動かない事を御約束致します。」


「盟約破りの得意な武田のどこが信じられる!」

「では、人質を差し出します!!」

「...誰を出すのか?」

「それは戻ってから主と話してからになります...」

昌信はそれ以上言えなかった。


「では、決まったらまた来るがいい」

そう言うと謙信は出ていってしまった。

昌信はすぐに甲斐へ戻った。


天正元年(1573年)十月

月山富田城

仕官したいと言って五人の男達がやって来た。

山崎吉家やまざきよしいえ真柄隆基まがらたかもと山崎吉健やまざきよしたけ山崎長徳やまざきながのり遠藤孫作えんどうまごさくと言った。


「真柄とは珍しい名だ。もしや太郎太刀の真柄か?」

俺が聞くと

「それは父にございます!父の武勇がここまで届いてるとは嬉しゅうございます」

と涙を流していた。

「その方らは朝倉から来たのか?」

俺の問いかけに


「私と隆基、吉健、長徳は元朝倉家臣にございます。孫作は」

「私は、浅井家家臣遠藤直経が子、孫作にございます。元服する前に父が亡くなり、御家も滅亡した為この名前にございます」

「遠藤直経だと!」

俺は驚いた。織田陣へ一人乗り込みもう少しで信長の首を取りかけた浅井の重臣だったからだ。


「そなたはあの直経の子なのか!」

「父をご存じで?」

孫作はなぜ知ってるのか不思議だった。

「織田陣地に一人乗り込みもう少しで首を取りかけたと元浅井家家臣に聞いたからな」

そう言うと、孫作は驚いた。


「他に浅井家家臣だった人がいるんですか!」

俺は頷き、

「藤堂高虎がここにいる」

「申し訳ありません。誰だか分かりません」

と孫作は頭を下げた。


「それで元服だがどうする?見たところ十五か十六くらいに見えるが?」

俺が聞くと十六と答えた。


「なら遠藤直景と名乗り俺の小姓となれ」

「ははぁ!」

山崎吉健やまざきよしたけ山崎長徳やまざきながのりその方らは長旌ながはたと共に内政関係をやってもらう」

「承りました」

真柄隆基まがらたかもと、今は左近の元で兵の指揮をしろ」

「ははぁ!父に負けぬ武勇をお見せします!」

(吉家をどうするかな~)


俺は山崎吉家をどこに配置するか悩んだが一つ思い出した。朝廷の繋ぎが久綱に任せっきりだった。

山崎吉家やまざきよしいえ、そなたは久綱の元に行き共に朝廷との繋ぎをしてくれ」

「ははぁ」


こうして新しく来た者達の配置は決まった。

(反織田の人間が集まってきてるような...)

俺は考えることを止めた。


天正元年(1573年)十一月

尼子倫久

丹後の田辺城を囲んでいる。ここを落とせば丹後は我々のものになる。

「具教殿の兵は凄まじかったですな...」

「まさに、尼子家最強ですね」


倫久の側にいた田公高家たこうたかいえ大坪一之おおつぼかずゆきはそう言った。


「あれが敵でなくてホントによかったよ」

倫久は心の底からそう思った。


戦が始まると鬼神隊とその名の通り鬼の如く一色軍を蹂躙していった。


一色義定いっしきよしさだは命からがら逃げ延びたのであった。


「いつまで籠ってることだろうな?」

倫久は降伏してきた一色に対しては義久に一色一族は全員始末しろと言われていることを伝え、一族全員の首で家臣などは許すと伝えていた。


「あれからまだ三日です。もう少し待ちましょう」

「それもそうだな...」

倫久は気が急っていたと思い落ち着くことにした。

それから一週間後、一色一族の首が届いた。


なんでも、城内で争いが起き、その時に一族を全員始末したそうだ。


約束なので家臣は全員許した。しかし、倫久はどこか許せないところがあった。


「兵太夫、誰が此度のことを先導したか分かるか?」

「はい。調べはついております」


兵太夫は義久の命で倫久の護衛に付いていた。

「先導した者達を事故に見せかけて始末しろ」

「よろしいのですか?」


「構わん。それが一色一族へのせめてもの手向けだ」

「わかりました」

数日後、先導した家臣が川で溺れて死んで発見された。


天正元年(1573年)十二月

丹波では亀山城を落とし、八木城を攻めていた明智勢が撤退をし亀山城近くの平野に布陣していた。


尼子軍二万と小寺軍三千、丹波軍八千が攻めてきたからである。

「陣地をなんとか作れましたな」

「えぇ、これで幾分か耐えられるはずです」

藤孝と光秀は話をしていた。


「それで、援軍は来るのでしょうか?」

光秀は援軍要請はしていたが来るかは分からなかった。


「信長様には要請はしましたが来る可能性は低いでしょう」

光秀は丹波攻略の足掛かりとなる亀山城を死守するつもりでいた。


「伝令!敵が現れました!その数三万を越えています!」

三万か...しかし、常備兵がいるのは尼子軍のみだろう。なれば同数、勝てなくとも負けることはない。


対陣してから三日後

小寺軍が先陣、その後ろを尼子軍が攻めてきた。陣形は鋒矢の陣、一転突破を狙ってきていると考えた。


「鉄砲隊、弓隊、弩隊、弾が尽きるまで打ち続けろ!」

弩は勝久の情報によって改良された物だった。


一刻後、三陣ある内の一つを突破されたが二つ目の陣で尼子軍の足が止まった。


尼子軍はテルシオで確実に進めていったが攻撃が激しく中々突破が出来ないでいた。


さらに一刻後、光秀は丹波軍が居ないことに気がついた。

「丹波の軍はどこに...まさか!」

その頃丹波の赤鬼と青鬼は亀山城を攻めていた。

「自らの城を攻めるとは空しいものだな...」

「ここを落とさねば丹波進攻の足掛かりにされてしまう。尼子と小寺が引き付けている内に落とすぞ!」


半刻後、光秀の元に伝令が来た。

「ほ、報告します!亀山城に敵が攻撃を仕掛けてきています!直ぐに援軍を!」

やはり、城を攻めていたか!


藤孝殿が三千で守っているが守れないから援軍を頼んだのだろう...。

最早、ここまでか...。


「全軍、陣地を放棄し亀山城まで退却する!敵は亀山城を攻めている!これを打ち破り籠城するぞ!」

撤退は早かった。またも勝久の情報から作られた煙り玉を使い、撤退した。


尼子軍は煙りの中から伏兵を気にしてそんなに動くことができなかった。


「またしても我々が作ったものを使うか!」

幸盛は憤慨していた。

勝久によって尼子で作られた物を織田に知られ、それを利用されていたからである。


「弩も陣地での戦い方も我らから流れたものだな...」

久家は敵の大将がそれを上手く使うのに腹が立ったが、どうやって攻略するか悩むのが先だった。


一方明智軍は亀山城に辿り着いていた。

丹波の赤鬼と青鬼は尼子の忍びの報せを聞き急ぎ退却していた。その際、城門を塞いで逃げたので藤孝も出ることができなかった。


光秀達は急ぎ城門を修理し、籠城戦の構えをした。

重盛は赤鬼と青鬼の二人と合流した。


「直正殿、教業殿、ご無事でしたか!」

「伝令の忍びのお陰です。なんとか引くことができました」

教業は状況を説明した。


「それでは兵糧攻めに変更しますか...」

重盛達は織田軍の兵糧がそんなに無いことを理由に兵糧攻めを行った。


しかしこれが魔王を呼ぶことになるとは思いもしなかった....。

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