閑話休題 七老中と毛利の暗躍
永禄五年(1562年)二月
珍しく七老中が集まっている。
相談役、亀井秀綱
七老中
宇山久兼、牛尾幸清、佐世清宗、中井久包、本城常光、赤穴盛清、立原久綱
清宗「しかし、先の葬儀では驚きましたな」
久兼「ええ、殿(義久)があれほど人を束ねられるとは驚きましたな」
常光「後は、武勇に知略があれば文句は無いのだがな...その辺どうなのだ?久綱、お主は昔から殿についておったであろう」
「武勇は皆様に劣りますな。知略に関しては何とも言えません」
「言えぬとはわからぬと申すか?」
「はい、浦上に敗戦して以来人が変わったかのように書物を読んだり、謀略を考えたりされていましたので」
と久綱はこれまでのことを話す
秀綱「ワシらのところにも亡き大殿(経久)についても聞きに来てたな~」
久包「たしかにそうじゃったな。戦い方を、特に聞いてこられた」
秀綱「報告書で読んだが降露坂での戦、あれは大殿の考えた月山での戦を元にしておるのかも知れんな」
幸清「しかし、なぜ退路など詳しくわかったのであろうな?先に読んでいて鉄砲隊で待ち伏せさせていたではないか」
常光「それは多分、忍びではないか?殿は多くの忍びを召し抱えておるではないか。あの者達のおかげで連絡がしやすかった」
常光は実際に忍びを使った連絡網を、体験したからそう思えるのだった。
盛清「しかし、殿は蔑まれた者ばかり従えるな。忍びにしろ山窩の者にしろな。忍びを武士と同等などあり得んわ」
幸清「確かにな~、他方から人材を集めておるしのう。我らがそんなに頼りないのかのう」
秀綱「まぁ、殿のことだ、我らを捨てたりはせんじゃろう。なにより同士討ちが一番問題じゃしな」
久包「しかし、殿が集めた者は優秀じゃの」
久兼「確かに、鉄砲に関しては我々に出る幕はないしな。他に関してはワシらの方が上じゃがな」
久綱「あの者達は殿自ら言われたものですからな。どこであのような者達の存在を知ったかは不思議ではありますが」
常光「うん?お主達が調べて見つけたのではないのか?」
久綱「はい。ある時急に言われましたので」
宗清「やはり、落馬して頭を打たれてからか」
久綱「そうですね...時期的にその頃からですね」
盛清「頭を打てば賢くなるのか..ハハハこれは面白い」と盛清は大声で笑うのであった
幸清「馬鹿になるよりはましではないか」
宗清「確かに」と皆で笑うのであった。
秀綱「さて、今後についてじゃが毛利の調略は始まっておろうな」
さっきまでの雰囲気から一気に変わった。
常光「特に石見の国衆でしょう」
幸清「いや、伯耆や備後辺りもだろう。あそこは安芸と接しておる。調略しやすいだろう」
久綱「殿の指示で国衆を半ば無理やり家臣にしたことが大きなところでしょう」
宗清「久綱の、言う通りだな、それぞれ元国衆の家臣に警戒しておくことが一番だな」
秀綱「それでは各々がた、各城に戻り対策をお願い致す」
「御意」
こうして七老中は、自分の領地に帰った。
一方毛利家では石見奪還について話をしていた。
元就「隆景、調略の具合はどうじゃ?」
隆景「はい。石西については元々こちら側でしたのでほぼこちらに着くことを約束しました」
元就「他のところはどうか?」
隆景「石央の国衆は決めかねておるようです。石東は残念ながら無理でした」
貞俊「備後、出雲に関しても結束しており調略は不可能でした」
元就「伯耆はどうじゃった」
隆元「決めかねているようです。やはり、無理やり家臣にされたことに怒りは持っていました」
元就「こちらにつくと言うた者はいないのか?」
隆元「伯耆の三浦はこちらに付きそうですが、それだけですね」
隆景「しかし父上問題があります。各地に寝返りの密書を持った者を送っておりますが何人も帰ってきておらず、殺られたものだと思われます」
元就「政時、どれくらい殺られた」
政時「恐らく十数人ほどです」
元就「世鬼衆はこれ以上厳しいかの?」
政時「恐れながら尼子相手ではこれ以上は無理でございます。これまでに多くの者を失いましたのでまだ未熟な者を送らなくてはいけなくなります」
元就「なら、座頭衆。その方達はどうか?」
角一「恐らく、ばれてはいないでしょうが、深く入ることは出来ません」
元就「角一、危険かもしれんが伯耆での寝返りを進めてくれ。政時達は石見を集中して行ってくれ。最低、中立を保たせたらいい」
「わかりました」
元就「幕府の仲裁を破ることになるがなんとしても石見をとる」
隆元「父上、総大将は父上が行かれるのですか?」
元就「ワシが総大将として、元春、貞俊、隆家(宍戸隆家)、通良(口羽通良)を連れていく」
隆景「私は大友対策ですね」
元就「そうじゃ、前回は大友のせいで負けたようなもの、今回も来るかもしれん。任せたぞ」
隆元「私はどうすればいいのですか?」
元就「伯耆での内乱が成功すれば伯耆を攻めよ。もし、しくじったなら国を守れ」
隆元「..わかりました...」
元就「それでは、石見攻めの準備をせよ」
「ははぁ!」
今回のみ書き方を変えてみました。
感想等ありましたらよろしくお願い致します
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