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騒乱

父が死んだと知らせが入った。

「そんな馬鹿なことがあるか!昨日あれだけ元気だったではないか!」俺は知らせに来た者の胸ぐらを掴み怒鳴り込んでしまった。

「殿落ち着いてくだされ!殿!!」その場に居た久経と久家に止められた。

「殿。まずは、月山富田城に行き確認しましょう!」そう言われてやっと止まった。

そして今、月山富田城に向かっている。

城門で 倫久と秀久と出会った。「二人とも今来たのか!」と二人に言うとそうだと言った。

「兄上、父上のことは本当なのですか!」倫久が聞いてきた。

「わからん。急いでいくぞ」と城内に入った。

部屋には既に秀綱、久包、久兼、久綱が来ていた。

「若、それにお二人も」秀綱が言う、

床には父上が眠っていた。

どうみても死んでいた。

「なぜ死んだんだ...」と呟くと俺は大声で、

「弥之三郎!どこにいる!!」と呼び出した。

縁側に出て来て。

「ここにございます」と平伏する。

「父上を護衛していたのではなかったのか!なぜ死んだ!」と怒鳴りあげる。

「恐れながら、護衛はしており忍びも一人たりとも近づけておりません」と言う。

「若、死因は毒物ではないと医師が申してました」久包が言う。

俺はその場に座り込んだ、「ならなぜ死んだんだ...」と気付けば泣いていた。

半刻たった頃には七老中全員が揃った。

「これからどうするか」常光が言う。

「殿の死を隠さねばなるまい。今ばれたら国衆が荒れ、毛利が攻めてくるぞ」幸清が言う。

皆で色々言い合っている。

俺は黙って一人考えてる。このままでは史実通り尼子は滅んでしまう。何とかしてまとめないといけない...

「秀綱、すぐに公方様のところへ行ってくれ」

騒がしかったのが静かになった。

「何ゆえにございますか?」秀綱が聞く

「父上の持っていた八か国守護を引き継ぐ許可をなんとしても貰ってこい」

「ははぁ!」そういって秀綱は出ていった。

父上の件最低二ヶ月は防ぐぞ。

「忍び衆!弥之三郎!」俺は呼び、

「ここに!」三人と弥之三郎が控える。

「結界を強化し偽の情報を流せ。父上が倒れて臥せっていると。毛利に真偽を探らせて時間を稼げ。もし、間者が分かれば始末しろ」

「ははっ!」四人とも出ていった。

「常光、山吹城は完成まで後どれくらいかかる?」

「はっ、恐らく三ヶ月はかかると思います」

「急がせろ、兵糧も入れ始めておけ。防備を固めていつでも動けるようにしておけ」

「御意!」

「幸清、久兼、清宗」

「はっ!」

「国衆の動きに注意し警戒しろ。独立や毛利に流れる者が出るかもしれん」

「ははっ!」

「兄上、父上の亡骸はどうしますか」

倫久が聞いてきた。

「今は冬だ、一月までは持つだろう、遺体を冷やせば持つはずだ。小さい氷室を作りそこに入れておく」

「わかりました。私が準備します」倫久は言う。

「倫久、任せたぞ」

「兄上、私はどうしましょうか?」秀久が言う。

「兵士を鍛えいつでもすぐ出陣できるようにしておけ。常光に援軍を出さないといけなくなるかもしれないからな」

「わかりました」

「それでは、全員取りかかれ!」

「おお!」全員が行動を始めた。


数日後毛利家

「殿、晴久が倒れ床に伏せているそうにございます」

「そうか!今なら石見を攻めとれるな!」元春は言い

「しかしなぜ今になってから情報が入ったのでしょう」隆景は疑問を持ち、

「晴久に何かしらあれば情報を漏れないようにするはずでは?」隆元は言う。

「もしかしたら、晴久本人は最早この世に居ないのでは...」元就は考えていた。尼子経久最後の謀略をもう一度しているのではないか?それとも実際は死んだように見せかけて誘い込もうとしているのでは?と、悩んでしまった。

何よりも真偽を確かめねば。

「世鬼衆、座頭衆なんとしても情報を持って帰れ」

「ははぁ!」


永禄四年(1561年)一月末

新年の挨拶は父が床に伏せた事を理由に俺が代理でやった。しかし、国衆の中には父(晴久)に会わせろなんて言う輩も多く少し騒動になってしまった。

忍び衆と鉢屋衆の話では毛利がほぼ全ての忍びを送り込んできているのでそろそろ結界が限界であると言ってきている。何とかして二月まで持たせてくれとは言っているが相手も後がないのか必死だと言う。

国衆に不穏な動きがあると、報告も受けている。よりにもよって俺の居城がある伯耆国と因幡である。なので、幸盛と久家に伯耆国を、倫久に因幡を頼んだ。

二月に入り、秀綱が帰って来た。七老中が集まり結果を聞く。

「殿、遅くなり申し訳ありません」秀綱が言う。

「それで、どうだった」

「一応、許可をいただけたのですが条件がつきまして」やっぱり条件をつけてきたか。

「どんな条件か」

「銭二千貫と殿の上洛でございます」

俺は義輝のくそったれっと思った。今上洛しては毛利に石見をやることになるからである。

「他に方法はないか...」俺は諦めて条件を受けることにした。

「父上の死を公表し、葬儀を行う。その最後に八か国守護を受け継いだことも発表する」俺は覚悟を決めた。もう、隠し通すのも限界であるため、わざと広めることにした。

経久の最後の策を石見の山吹城で再現するために。

俺は忍び衆を使い周辺国に晴久の死を流した。

その上で葬儀を行うことも共に流し、油断を誘うことにした。


毛利家

「父上!!尼子晴久死んだようにございます!」と隆元が急ぎやって来た。

「既に聞いておる。葬儀を行うらしいな」そう言うとドタバタ音が聞こえて

「父上!!晴久が死んだから石見を落とせるぞ!」飛び込んできたのは元春だった。

「聞いておる。しかし、わざわざ葬儀をすることを知らせるか?何か仕掛けがあるぞ」元就は思案した。尼子経久に一度やられたことがあるからである。

大友も今は静かである。尼子をやるなら今が好機。しかし、不可侵を結んでいる。後三年か...

元就は不可侵を破り攻めこみ幕府の頼みを全て失くすか...

「一年様子を見るか。」

「尼子の国衆に調略をしかけよ。少しでも我が方に鞍替えさせるのだ」

「わかりました」と隆元は指示をするために出ていった。

「元春、貞俊を呼んできてくれ。尼子の葬儀に代理として向かわせる。内情を調べさせる」

「父上、福原を捨てるおつもりですか?」元春は貞俊を見捨てるのか危惧した。

「そうではない。尼子の様子を知るためだ。仮に代理人を殺れば大義名分を得られる。重臣を送ることで敵を挑発することもな」と元春に説明した。

「わかりました」と元春も貞俊を呼びに行った。

福原に説明をし代理人として葬儀に向かわせることになった。

これで、尼子の様子を確実に知れる...元就はこれを機に石見奪還を目論んだ。

間者を始末したので晴久の死は隠せました。

次回は葬儀ですが毛利のせいで何かありそうです。

感想などありましたらよろしくお願い致します

誤字報告もものすごく助かっていますのでよろしくお願い致します。

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