降露坂の戦い(前編)
元就は再び石見銀山を奪取すべく吉川元春・小早川隆景を引き連れて小笠原氏の居城である温湯城へと侵攻してきた。小笠原長雄は尼子家臣である多胡辰敬を通じて救援を要請してきた。
「すぐに援軍を送る。儂自ら向かうと、長雄に伝えよ」と父が辰敬に命じた。
「父上、山吹城に行く御許しを下さい。もし温湯城が落ちた場合狙われます」俺が言うと「認めん。お前は第二陣として準備しろ。儂の後に来ればいい。常光には対処させておる」と言い広間から出ていってしまった。
俺は戻って皆を集めた。
集まったのは
近習衆 宇山久信、山中幸盛、横道正光、 秋上久家、立原久綱、と元服した鉢屋久経
忍び衆 望月兵太夫、百地正永、藤林正保
鉄砲衆 遠藤俊通
雑賀衆は代表で鈴木重秀
ほぼすべての家臣が集まった。
「今回、温湯城の援軍の第二陣となった。しかし、俺は援軍は間に合わないと思っている。時期的に川が氾濫している可能性が高いからである」と説明すると兵太夫が
「既に甲賀の者を送りましたが殿の予想通り既に氾濫しており道が塞がれている状態にございます」と説明した。
正保が「部下に毛利の兵糧の流れを調べさせております。直に報告が来ると思います」
指示する前に既に調べに入っており俺も含めて皆驚いた。
「いつの間に向かわせていたのだ?」と俺が言うと、「殿の指示で毛利に送らせていた間者数名が毛利軍に紛れ込んでいるので、温湯城からの援軍要請が届く前に指示しておりました」
なんと言うか仕事が早い。正直驚いてなんも言えなかった。
正永が「世鬼衆についてですが毛利本陣と吉川、小早川の周りを強く警戒しております。正直暗殺は無理かと」と世鬼の動きを説明してくれた。
「こちらの軍の状態は?」
久綱が「八百人は少し集まるのに時間がかかるかと」
久家は「常備兵千人いつでも行けます」
幸盛も「八百人すぐに行けます」
俊通「鉄砲隊すぐにでもいけますが、合戦に出た事が無いのでどこまでやれるかわかりません」
重秀「雑賀衆は半日あれば集まれる」
「忍び衆はどうか?」
兵太夫「甲賀衆十五名は動かせます」
正永「伊賀衆四十名はいけますが」
正保「うち十名が毛利陣内に入っております」
「出陣は五日後だ。急ぎ武器、兵糧を準備せよ」と命令した。
忍び衆以外は皆準備に向かった。
「兵太夫、甲賀衆は手練れを本城常光の所に送って情報の共有と繋ぎを頼む」
兵太夫「ははぁ!」
「正永、正保、伊賀衆は敵の兵糧のありかと世鬼衆の動向を探れ。」
二人「ははぁ!」
二人とも部屋を出ていった。
さて、ここからが本番だ。
短いですがどうぞ。
降露坂の戦いが始まります。
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