降露坂の戦いに向けての部隊編成
戻ってきた俺達は今年起こるであろう、降露坂の戦いに向けて部隊編成を開始した。ちなみに父への報告は秀綱にお願いした。上手くごまかしてもらえることを祈ろう。
さて、降露坂の戦いが起こるから今回はなんとか参戦したい。その為に部隊の確認と見直しを始めた。
立原に任せている最初からいる八百名
秋上に作らせた常備兵千人
雑賀衆の九百人
遠藤兄弟に作らせた鉄砲隊三百人
元流民で強制徴収すれば集まる二千五百人
それと、幸盛が勝手に集めた八百人
計六千三百人
「実際には三千八百人か、強制はそんなに使えないし」
それに幸盛の私兵を数にいれても不味いから、
「なんとか三千人は集まったか。父上の命令は守れたな」
それとは別で忍びが
甲賀衆五十五名
歩き巫女(養成中)四十名
伊賀衆が...何人来てたんだ?
「そう言えば、伊賀衆は何人連れてきたんだ?」と言うと何故かいつもいる小姓が「百二十五名です」と答えた。 なぜ知ってるのか聞いてみると、「私が伊賀の皆様の対応をさせていただいた為です」と、答えた。
すっかり忘れてたが小姓の名前は確か、四郎だったな。父上が私に付けてくれたものだった。
「そういえば、四郎は元服はまだだったな。確か、幸盛と一緒の歳だったか?」
「はい、今年で十四歳になりました。」
「なら、父上に言って元服するか」と言うと驚き
「よろしいのですか?」と聞いてきたので構わんと答えた。
数日後、俺は父のいる月山富田城に来ていた。
用件は次に毛利が来たとき出陣させてもらうことと、四郎の元服の許可である。
父のいる部屋に向かうと丁度、久包と弥之三郎がいた。
「父上に相談があってきました」
「なんだ?」
「次に毛利が攻めてきた時出陣させてください」
「なぜだ」と聞いてきたので
「前回は謹慎中だったので参戦出来ませんでしたが、今回は参戦して家臣達に私の部隊の戦を見せたいからです」と俺が言うと、また嫌な顔をしていた。
「殿、今回はよろしいのではないですか?」と久包が援護してくれた。すると父は、
「なぜ毛利なんだ?雪辱を晴らすなら浦上ではないのか?」と聞いてきたので
「浦上は放っておいても家臣によって消されそうなのでいいです」
「なんだと!!」と三人とも驚いた。
「それはどこで知ったのだ!」と、怒鳴られた。
「甲賀衆を山名と浦上に送っていますので情報は色々入って来ます」
「なぜそれを報告せんのか!」とまた怒鳴られたので、
「その報告書は今日出した中に入ってますよ」と言ったら静かになった。
「毛利の件は認める」父はため息をこぼした。
「それと、毛利ですが、武力と知略が戻って来たみたいなので年内に攻めてくると思います」
「お前は!」と怒ると弥之三郎が「その情報は我らも掴んでおりますがなぜ、年内に攻めてくると思われるのですか?」
と聞いてきたので
「私たちと同じ理由です。石見を取ればその銀で兵力を増強でき、取られればそれをされる。すぐにでも取り返したくなるはずです。武の吉川、知略の小早川が戻ったとなれば可能性が高いと思います」そういって説明すると三人とも考えていた。
「山吹城に防備を強化するよう常光に指示しておこう。久包頼むぞ」と父が言った。
「後、話は変わるのですが、私の小姓の四郎を元服させて偏諱を与えたいのですがいいでしょうか?」と言うと何故か弥之三郎が驚いていた。
「何故、四郎に偏諱を与えたいんだ?」
「今まで小姓としてよくやってきてくれたのと今では近習衆と同じくらい大事な家臣だからです」と説明した。
「だ、そうだが、弥之三郎どうだ?」父はなぜか、弥之三郎に聞いた。
「我が愚息にしながらもったいなきお言葉。」
...四郎って弥之三郎の、息子だったんたか!心の中で叫んでいた。
「元服の件、いいだろうが名前は決めているのか?」
「一応決めてはいます」
「久経です」と言うと不機嫌そうな顔をした。
「殿、せっかく若が考えられたのでよろしいではありませんか?」久包がそう言ってくれると、ため息をつきながら「わかった。好きにしろ」と一応認めてもらった。
弥之三郎はなぜか、涙目になっており頭を下げていた。
まぁ、反対にしたら経久になるからな~と軽く考えていた。
こうして、四郎は鉢屋四郎久経となって、義久に絶対的な忠誠を捧げるようになった。
四郎の元服後、予想通り毛利が攻めてきた。山吹城ではなく今回も温湯城だった。
鉢屋四郎久経はオリジナルです。本当は調べてきちんとした名前で入れたかったけど見つからないのでもう、細かいところはオリジナルでいきます。
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