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将軍謁見と堺での商談に向けて

なんだかんだ将軍に謁見するために準備をしていたら年が過ぎて永禄2年(1559年)になってしまった。

「急いで行かないと父上に何を言われるか...」

急いで来たので一月半ばには京都に着いた。

「秀綱、京都とは虚しい場所なのだな」俺は京都を見てから言った。

一言で言うなら廃墟と言って良いかもしれないくらい荒れ果てている。

「尼子の民はこういう風にはさせたくないな」

「そうですね」秀綱も言う。

今回は俺と秀綱、近習から久家と久綱、護衛に五百人連れてきている。

二月になり、やっと将軍に謁見出来るようになった。

御所に着くと部屋の一室で待たされた。なんでも他に謁見している人物がいるらしい。

「秀綱、今の幕府をどう見る」

「恐らく、三好と手を結ばなければ終わりかと」

「幕府にそこまでの力が無いと言うことか」俺はそう言って今後の幕府を思い出していた。

三好長慶がいる間はなんとかなったが亡くなった後義輝は永禄の変で殺された。これにより信長が義昭の後ろ盾として将軍に、最後は追放して幕府は終わるんだったよな。思い出している間に案内がやって来た。

「遅くなりました。公方様が御呼びです。」

謁見を許されたのは俺と秀綱だけだった。

「秀綱、公方様はどのような方かな?」

「さぁ、わかりませぬ」

広間に行くと公方はおらず、案内した者と幕臣と思われる三人だけだった。

「公方様の御成」

俺達は頭を深く下げて来るのを待った。

「面を上げよ」そう言われてやっと義輝の顔を見ることが出来た。

「此度は謁見を認めていただき恐悦至極に存じます。此度は八か国の守護をお認めになって頂いたお礼に参上致しました。」そう言い、最初から居た者が献上した物の目録を読み上げる。

刀や清酒、干し椎茸と最後に銭が千貫と言った時に驚きの声をあげた。

千貫は、大体一億五千万だ。正直このせいで手持ちの半分は消えてしまった。

「尼子の忠節大儀である。今後も相伴衆として幕府の為に励め」と義輝はご機嫌だった。

「ははぁ」俺と秀綱は深く礼をした。

「貴殿らのような忠義ある者が近くに居てくれれば三好なぞ怖れるに足らんのになぁ」義輝はぼやき、畠山はどうだ六角は裏切ったなど愚痴を言ってくるのでつい、「なぜ、三好を利用しようとはせんのか」と呟いてしまった。

「なんじゃと」義輝の癇に触ったのか威圧してくる。もう、どうにでもなれと思い言った。

「恐れながら申し上げます。公方様は何故三好と争われますか。なぜ、三好を利用し、自らの力を上げようとはなされませんのか?」

「若!」そう言ったのは秀綱だった。

義輝は刀を抜き首に当ててきた。

「何が言いたい?」完全に殺気がこもっていた。

「公方様は三好を潰したいと思っておられる様子にございます。しかし、今そのような兵も力もありません。なれば三好の力を使い公方様自身の直轄地を得て、兵を揃えて鍛え三好討伐の旗頭となればよろしいのではないですか。ただ、各国に兵士を出せと言っても公方様ご自身は何もされませぬ。そのような口だけの大樹に誰がつき従いますでしょうか!なればこそ、大樹自らが兵を率いてその意志と決意を見せつけ各国に三好討伐の檄を送られれば各国供に公方様の元に集まるのでは無いでしょうか!」

言いたいことは言いきった。後は運任せだ。

義輝の持ってる刀が震えている。

首から退けたかと思えばおもいっきり振りかざして来た。死んだな...そう思ったが実際には目の前で止められていた。

「貴様なら三好を使ってどこを得る」義輝が聞いてきたので、「すぐに得るだけなら若狭、堺、時間がかかっても確実に行くなら能登、越中、加賀も取ります。さすれば朝倉、上杉が動けます」

「貴殿は馬鹿か。若狭や能登は我らの同胞がいるのだぞ。それに加賀だと、一向衆を敵に回せと言うのか」幕臣が言ってくる。

「動かない同胞など盾にもなりません、大樹が積極的に動くことでしか三好を討つことなど出来ません!一向衆については本願寺と話し合えば良いではないですか。それに攻めるのは大樹ではなく、朝倉、上杉、三好に任せればいいではないですか。加賀を攻める大義名分はいくらでもあるでしょう!」

「静まれ!!」義輝が言うと静まった。

「三好との戦、尼子もその時には全軍で来るであろうな。」義輝が言うと「毛利を黙らせたなら動けるでしょう」と言った。

「暫し考える」と言って出ていってしまった。

その後、俺達は御所を半ば追い出され宿に戻った。

秀綱に散々説教された。

数日後。御所から「今回の件は、咎めない。代わりに三好討伐の際には参加しろ」と言うありがたみの無い手紙がやって来た。

父上にどう説明しようか悩むのであった。

さらに数日後

今久綱と久家の二人と護衛に十名と共に堺に来ている。清酒や干し椎茸を高く売るために商家に売り付けるのと鉄砲を仕入れるためだ。

義久の領地だけで鉄砲は千五百丁ありさらに雑賀衆の分も会わせると約二千五百丁はあることになるがこれを尼子家全体で使うとなるとまだ少ない。なので、僅かでも鉄砲を買い集めようと考えていた。

商家の方は先触れを出してきちんと話し合えるようにしてもらった。

相手はあの、今井宗久だ。

正直、細かいことは立原に任せるつもりだ。

「だって商談で勝てる気しないもん!!」心の中で叫んでいた。

なので、挨拶だけした後は久綱に任せて堺を回ろうと思っている。

商家に着くと奥に案内された。すぐに男が現れて挨拶をした。

「初めまして、この店の主の今井宗久と申します」

「初めまして、尼子義久と申す。こっちは立原久綱と言う」

「立原久綱と申します」それぞれ挨拶が終わったので商談に入る。

「さて、此度の商談はこの久綱に任せているので私は失礼したいと思います」と言って逃げようとしたが

「わざわざ、ここまでいらっしゃったのですからどうぞ商談にお付き合いください。後で茶も御用意させていただきます」宗久に言われ逃げられなくなった。なので、使いをだし久家に鉄砲の方を任せた。

「それで、こちらで売りたいものとはどのようなものでしょうか?」

「今回持ってきた物は自伝酒、清酒、干し椎茸です。お酒はどうぞご賞味下さい」と飲ませてみた。

「この清酒は透き通っていて見事ですな!こちらの自伝酒は香りが独特ですな」僅かに飲んだだけで商品としての価値を見つけたようだ。

「清酒はそのままお酒として、自伝酒は調理に用いるといいものです。どちらも我が領地でのみ生産しております。しかし、こちらで売る手だてが無いので今回今井殿にお願いさせていただきました」俺は説明した後、ゆっくり商談を見守るのであった。

結論で言えば取り扱ってくれることになり、販売金額は清酒だけは今井宗久が高く売り価値を上げたいといいかなりの額で決まった。

手数料など、高くされそうになったが久綱が見事にまとめ予定以下で取引することになった。やっぱり、交渉は任せて正解だった。

無事に交渉を終わらせて、久家のいる鉄砲を取り扱っている店に行くとなにやら人だかりが出来ていた。


将軍に喧嘩売っちゃいました

まぁ、ムカついたからいいでしょう!

次回は堺であの人物が出る予定です

感想などありましたよろしくお願い致します

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