北条征伐
平季八年(1589年)十月
二条城
「隆光め...。いや、義重の判断が早かったのかもしれんな」
俺は佐竹の元に軍監として行っている隆光からの書状を読んで頭を抱えた。それには佐竹の臣従と戦に参戦したことが書いてあった。ついでに久経の報告で下総の方は北条軍を撃退し北条氏邦を捕虜にしているとあった。
「具教、用意していた全軍に出陣の命令を出せ。北条討伐を始める」
「畏まりました。直ぐに動けるのは武田信勝、今川氏真、徳川家康、秋上久家、山中幸盛、あと長宗我部が港に居ますので直ぐに向かわせられます」
具教が動ける軍を報告してくれる。
「では、上野に幸盛を大将、久家を副将として、上杉景勝、東北組を向かわせろ。伊達は佐竹と共に武蔵に向かわせろ」
「はっ!」
「次に徳川家康を大将として、武田信勝、織田信孝、織田信秀、今川氏真を伊豆方面から攻めさせろ。次に方久を総大将に越中、越前、加賀、能登、近江の者を合流させ相模の小田原城へ向かわせろ。久綱、副将として方久を頼む」
「畏まりました」
俺は急ぎ指示を出していった。数で劣る佐竹と隆光達を救うためだ。
「上様、長宗我部はどうしますか?」
「長宗我部は秀久を大将に水軍を率いて安房に向かわせろ!途中、志摩の九鬼水軍も合流させろ。安房、下総制圧後は小田原城へ向かい海上封鎖をさせろ。先に行っている熊谷達尼子水軍もだ」
「上様は如何されるのですか?」
「俺は毛利、島津と合流してから向かう。まぁ、それまでに終わっているかもしれんがな!」
「畏まりました!直ぐに使者を送ります!」
二条城は皆が大急ぎで動き出した。
「皆の者、これが日ノ本最後の戦と心得よ!」
「「ははぁ!」」
全軍が動くまで恐らく半年はなるだろう。
平季八年(1590年)四月
北条攻めは面白いくらい簡単に進んでいる。
北条は相模以外の土地を放棄して小田原城を中心に籠城策を取っていた。
中には降伏して城を明け渡して来た者もいた。
北条氏照と北条氏勝だ。氏勝は祖父綱成の最後の遺言の為降伏したそうだ。
綱成は尼子、佐竹軍と戦をした後、戻る際に倒れ意識を失っていたが、一時的に戻ったが遺言を言い残した後、静かに亡くなったらしい。
きっと、言いたいことは言えて逝けただろうと思う。
家康達を先頭に方久軍が小田原城に着いたが、言葉を失った。
「これが小田原城か...。何て広さだ...」
「これ、上様が作ってる大阪城より大きくない?」
方久と久具はその大きさに驚愕していた。他の家臣達もそうだ。
方久達がいるのは石垣山だが、小田原城の総構えは西は早川から東は、山王川を越えてまであった。
見たところ要所要所には大きな門があり力押しで攻めては大きな被害が出るのは間違いなかった。
「まずは、小田原城と対陣しつつ、周りの城を制圧していこう。別動隊を作る」
皆、方久の案に賛成して別動隊が組織された。
別動隊の大将は宇山久信、副将前田利家、羽柴秀吉とした一万五千の軍を出したのだった。
(はぁ、父上の大筒衆が、来ないと落とせそうにないな...。兵糧攻めは...したくないな~)
方久は一人どう攻めるか考えるのだった。
その頃、隆光率いる尼子軍と佐竹軍は伊達正宗率いる軍と合流していた。
「上様の命にて参りました。我らはこれより武蔵を制圧しつつ小田原城に向かいます。指揮権は隆光様にお渡しします」
隆光は頷き、全軍の将を集めた。
「皆集まったな。上様が北条討伐を決められたのは知っておろう。我らは武蔵の北条方の城を落としながら小田原城に向かう。久経は先に小田原城に向かえ。若(方久)が大将として来ているそうだ」
隆光は方久の傅役でもある久経を向かわせることにした。傅役であるというのと忍衆を束ねる長でもあるからだ。氏邦の話で小田原城はかなり大きな城だそうなので、忍衆の働きが大事になると思ったからだ。
「畏まりました。直ぐに行きます」
方久は陣を出て軍と忍衆を連れ小田原城へ向かうのだった。
平季八年(1590年)六月
俺(義久)が小田原城に着いたときには各方面から来た軍が集まっていた。
その数は三十万にも及んだ。
石垣山を本陣として主な武将を皆集めた。
「このまま、囲うのもつまらん。少し派手に行こうと思う」
「上様、派手にとはどう言うことにございますか?」
俺が言うと集まった者達を代表して家康が聞いてきた。
「何、2日間ほど四方から昼夜問わず大砲を撃ち込む。その後は総攻めする。秀隆!」
「はっ!」
「二日間与える。大筒隊を指揮して各地に配備しろ!」
「かしこまりました!!」
「秀久、信親!」
「はっ!」
「連れてきた水軍を指揮して海上から砲撃しろ」
「畏まりました!」
「他の者は砲撃後、城攻めを行えるように準備をしておけ!また、大筒隊の準備にかかる二日間は降伏を促しておけ。それ以降は城に居る者は撫で切りとする!以上!解散!」
俺がそう言うと皆準備をしに出ていった。
特に北条氏直を筆頭に降伏した北条氏照、氏勝は顔が真っ青になりながらもいの一番に陣を出ていった。
残っていたら撫で切りと言ったので一人でも多くの領民を助けたいためだろう。
二日間、包囲軍から小田原城に向けての最後の降伏勧告をした。
氏直を中心に北条一族が城に近付いてまで降伏と避難を呼び掛けたお陰でそれなりの数の領民が逃げ出して来た。
しかし、大半は残ったままだった。氏直は期限を延ばして欲しいと頼んだが変えることはしなかった。
そして期限が過ぎ、全ての準備が完了した。
お久しぶりです。
永らく止まっていましたが再開します。
と言っても後数話ですけど...
最後までよろしくお願いします




