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忍原崩れ(前編)

永禄元年(1558年)

月山富田城で評定を行っている。

父晴久と重臣達(亀井秀綱、宇山久兼、 佐世清宗、 牛尾幸清、中井久包)俺と近習衆(宇山久信、山中幸盛、横道正光、 秋山久家、立原久綱)など多くの家臣が集まっている。

「以上のことから毛利は近い内に尼子に侵攻もしくは大内を滅ぼすかと思われます」弥之三郎は報告をする。

「やはり、狙うとすれば亀谷城ですかな?」幸清は言う。

「亀谷城は石見を攻めるためには重要な拠点。ここを落とされれば我々は石見を諦めなければならんな」久包が言う。

皆が亀谷城が攻められると思って増援や兵糧を運び込むなど話していたが俺は史実を知ってるため発言した。

「恐れながら、亀谷城の他にもう一つ攻めてくると思う城があるのですが」

全員が俺に注目する。

「それはどこか?」晴久が聞いてくる。

「温湯城です」俺は答えると皆頭を抱える。

「一応聞くが、なぜ温湯城だと思った」晴久が言うと

「温湯城は最近小競り合いが多くなってきています。そろそろ本格的に攻めてくるのではと思いました。」

「確かに今年の二月頃少数で攻めてきておりましたが全てこちらが勝利しておりそれ以降攻めてきておりませぬぞ。」清宗が言うので反論した。

「その小競り合いはほとんど被害が無かったのではないのでしょうか?毛利がわざと負けて亀谷城を狙うと見せかけてるのでは?温湯城を落とせば次に攻める亀谷城は楽に攻めることができます。なので今回本気で攻めてくると思いませんか?」

と反論した。

「そんなに重要じゃない城にわざと犠牲など出すか?」幸清も言ってくる

「相手は厳島の毛利ですぞ。普通じゃないことをしてくるのですぞ!」毛利を甘く見すぎてるのに腹が立ち怒鳴ってしまう。

「なんだと!」幸清と清宗も立ち上がった。

「静まれ!!」

晴久は怒鳴り込み、騒動を静めた。

「父上申し訳ありません」俺は謝ったが

「義久、お主は米子城で謹慎しておけ!」

「父上!」俺は驚き

「殿、それはやりすぎでは?」秀綱も弁護する

「異論は認めん。毛利は亀谷城を狙っていると考えて対策するように。評定は以上だ」

晴久は評定を終わらして大広間を出ていく。

「殿、お待ち下さい!」と、言いながら久包は追いかける。

皆、大広間を出ていき残ったのは亀井秀綱と俺と近習衆のみだった。

言い合いをした清宗と幸清は見下すように俺を見てから出ていった。

「若、今回のも夢で見たことですか?」秀綱は聞いてきた。

「いいや、自分で考えた上での結論だ。秀綱、俺は間違ってたのか?」

「流石に怒鳴られたのは問題ですが、今回は殿もどうされたことやら」秀綱も疑問を抱いていた。その後秀綱も出ていき残ったのは俺と近習衆だけになった。

「皆、聞いてたな。俺は謹慎を命じられた。帰るぞ。」そういって広間を後にし城へ帰った。その間近習は誰も声をかけられなかった。


一方その頃、久包は晴久を追いかけて晴久の自室に来ていた

「殿、どうされたのですか?若だけ処分とは」久包は不思議だった。

「なにか問題があるか?あいつは重臣を馬鹿にしたようなことを言ったのだぞ。謹慎で問題あるまい」晴久はそう言うと書類を見ていた。

「若の発言も問題はありますが今回の件で他の家臣に若が軽くみられたらどうなさるのですか?」

「問題あるまい。あそこまで言ったのだ。自分で何とかするだろ」そういって晴久は聞く耳を持たなかった。

久包は不安が的中しどうしようもないと思い部屋を出ていった。


城に戻った義久の所に小姓が来て「百地正永様がお帰りになり殿をお待ちです」

「わかった。ここに呼んでくれ」そう指示をし、近習は解散させそれぞれ任せていたことをやらせた。立原は残った。伊賀の忍びが正式に配下に加わることを確認したかったのと義久が心配だったからである。

「百地正永以下伊賀の忍び、ここに帰還しました。」

百地ともう一人の男が代表として残り、配下の忍びを小姓に住みかとなる長屋に案内させた。

「お初に御目にかかります。私は藤林長門守正保と申します」

「藤林長門守?確か、今川の忍びでは?」俺はつい言ってしまった。

藤林正保は頭を下げて、「それは一時雇われていただけにございます」弁明してきた。

「まぁ、いい。とりあえずすぐに仕事を頼みたい。」

「ははぁ、なんなりとお申し付け下さい」二人は頭を下げる

「まず、すぐに毛利に間者を送り情報を集めろ。次に、毛利の世鬼衆の居所を全て見つけろ。やつらは点在してるらしい」

「すぐに取りかかります」

「行け」俺がそう言うと二人は消えてしまった。

...唖然としてた俺に立原は声をかけ

「義久様、大丈夫ですか?」

「あ、あぁすまない」俺は元に戻り、立原に指示をした。

「これを元に酒を作ってくれ」

そういって渡したのは清酒と灰持酒の作り方である

「この作り方は決して外には漏らすな」

「すぐに取りかかります」立原はそう言って出ていった。

一人残った俺は謹慎のことを考えていた。

何がいけなかったんかな...一人時間だけが過ぎていく。

月日は流れ五月、義久様が言った通り温湯城が攻められた。

忍原崩れですが参戦できず。出陣は次回に持ち越しです。

藤林長門守は正保としています。

感想などありましたらよろしくお願い致します

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