二度目の説得
鉄蔵達を説得すべく山に来ている。
今回は護衛、久信、幸盛とその他十名だ。
武装はさせておらず鎖帷子だけとさせている。もちろん俺は前回と同じで刀のみである。
「一応会いに行くことは伝えてるはずだが会えるかな」
俺は前回のことを思いだし悩む。何としても説得し、年内に事を進めたい。
「今度は一人では行かないでくださいね」久信はそう言う。
「さて、会う予定地はこの辺だったよな?」俺は久信に確認をする。
「そのはずですが誰もいませんね」周囲を確認する。
「尼子義久だ、鉄蔵に会いに来たがどこにいるか」俺は大声で叫んだ。
そうすると男が一人やってきて案内をしてくれた。
今回は鉄蔵と四、五人男が待っていた。
「やっと来たか。」鉄蔵はそう言う。
「場所がよくわからなったから遅れてしまった」俺はそう言う。
前回と違い久信と幸盛がいるので簡単な紹介だけはした。
「さて、前回の話の続きだが」椎茸の栽培方法を簡単に説明する。
椎茸を探してきてもらい木を切った時に出来るおがくずを集めて蒸篭で蒸して消毒し締め切った小屋に置いておく。おがくずに胞子が付いて菌糸を張った物の中に木片をいれ菌糸を移しそれを一定の長さに切ったなら等の木に打ち込んで林の中に並べて栽培する。
始めは正直博打と同じで数打ちゃ当たるようなものだ。
これが成功すれば大きな収入になる
「それで、なんで俺らにやらせる?」鉄蔵は聞いてくる
「山のことは山窩の者が一番知っている、椎茸栽培の方法を他国に知られる訳にはいかない。山窩なら余所者が来たらすぐに分かるだろうし、こちらからも護衛と監視はつけておく。」
「監視ということは信用されてないということだろ」
「監視は間者が入ったり山窩の者がよそに持ち出さないようにするためだ」
「結局、俺達を信用してないってことか。山窩の者にも意地と誇りがある。お前らと違い決まったことを破ることはしない!」鉄蔵はそう言うと立ち上がる。
「その言葉に偽りはないな」俺は聞くと
「当たり前だ!!」鉄蔵は、さすがに怒る。
「なら、任せたい。販売先は確保しておく。椎茸の販売価格の三割は貰いたい七割は山窩の者達で分けてくれ」
「義久様、流石にそれは少なすぎます、せめて五分五分にしなければ」久信は慌てて言う。
「俺達は方法と販売先を提供するだけで後の作業は山窩の者達が行う。それだけで売り上げの半分を取ることなど出来ない」俺がそう言うと
「俺達はまだあんた達を信用はできない。今までがそうだったからだ。現にこの話も信用しきれない」鉄蔵は言う。
「だが、あんたは俺らに土下座までした。普通の奴はしない。だから今回その栽培やってやろうじゃないか」
「そうか!ありが...」お礼を言おうとすると遮られ
「ただし、栽培が嘘だったときは俺達は二度とあんたらの言うことは聞かない。それと俺らが持ってる情報を他国に流す」鉄蔵が言うと幸盛がキレる。
「さっきから黙って聞いておれば義久様に対してなんと言う態度、ふざけてるのか!」
「幸盛黙れ!」俺は幸盛を怒鳴り付けた。
「しかし!」幸盛はそれ以上言えず黙りこんだ。
「部下がすまなかった」俺は頭を下げる。
「いつものことだ、気にしない」鉄蔵は言う。
その後、鉄蔵と詳しく話をしどこでやるか、規模はどれくらいにするかなど話し合った。
俺に怒鳴られたあと幸盛は、終始不機嫌であった。
鉄蔵達との話を終えて城へ帰る時、幸盛は聞いてきた。
「義久様、なぜあのような態度を許すのですが?」
「俺はいつの日か誰もが楽しく笑って暮らせる国が作りたいと思っている。身分の差など無いようなそんな国だ。今は無力だが出来ることからやっていこうと考えている。だから態度や言葉使いなど気にはしてない」
そう、滅ぼされないことと誰もが笑って暮らせる国を作りたい、それが俺の願いである。
「一歩づつ着実に歩みを進めなければ」そう呟き心に誓うのであった。
なんとか説得できました..?
とりあえず鉄蔵を、こちらに率いれたので山窩のものは味方につきそうです
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