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第3話 轢いちゃった!

9/14 修正

 車を走らせ十五分といかないうちに緑一色だった草原の草は薄くなり砂利が地面に見えていたが林や村、町の様なものは見えてこない。


「公道走りたい」


整備されていない道を走るのは気を遣う、アスファルトの道路が以下に大切か痛感した。


 「砂利が跳ねて愛車のボディを傷つけないか心配だ」


絶対に壊れない能力があるとはいえやっぱり砂利が跳ねてボディに当たるのは嫌だ。

小さな砂利が車に踏まれ飛んでいるのが運転席で運転していてもわかる。

気付くと地面の緑色は消えて砂利だけの砂利道になっていた。草原ステージから荒野ステージへと入ったようだモンスターとか地面から出てこなければいいが。


「ここら辺で休憩するか」


長時間のドライブをしたわけではないが初めての異世界で周りを注視して運転して疲れてしまった為少しだけ車を停めて休憩することにした。


「やっぱりなんもない」


地面は完全に砂利のみで草木一本も生えていない。もしかしてここは動物も国家も美少女もいない生命体の存在しない世界なのでは? 憶測が頭の中で飛び交う。


「くそっカーナビさえ使えればここが何処だか分かるのに」


ちょっと不親切すぎやしません?あのヤンキー女神チート能力くれないしカーナビ使えないし。

独り不満を漏らしながらお菓子を頬張る。食料には限界がある為早く人?獣人?の住んでいる村か町に着かなければ。悠長にしている暇はない。


ちゃんと受け入れてくれるかな?あっちから見たら俺ってエイリアンじゃね?


お菓子のごみを車内の小さいゴミ箱に入れとりあえず走らせようとエンジンをかけるとエンジンの鼓動が運転席を揺らす。何度聞いても惚れてしまうエンジン音が身体に響く  


 「何だ……あれ?」


フロントガラスの遥か前方でさっきまでは確認できなかった砂塵が舞っていた。

 パワーウィンドウを開け手を出し風の確認をするが風は吹いていない、なぜ砂塵が舞っているんだ?

もしかしたら地元の先住民が俺を狩りに来たのかもしれないので車の中で身構える。


ゲームでやったモンスターズハンターズのモンスター側になってしまうのか?太刀とかランスで一発で死んじゃうよ(^v^)


中学の時に流行ったモンスターをプレイヤーが狩るゲームを懐かしんでいると砂塵はどんどん近づいてく来ていた。すると砂塵の中に4つの人影が見えた。前に1人、後ろに3人のワントップだ、どうやら4人のフォーマンセルで俺を狩るらしい。


「やばいどうしよう……」


この判断力の遅さが大学の単位を落とす1つの原因であることは本人は知らない。


「一番前の奴走っているぞ!?」


先住民?なんだから走っているのは分かるが後ろの3人は馬に乗っている。

軽く三十キロは出ているはずだ。生身の身体でそんなに早く走れる訳が無い、何の種族だ?


「一番前の奴隊長じゃないの?部下に走らされてんの?」


車の中から迫ってくる人影に目を凝らして観察するとどうも様子がおかしいと4人が目前に迫ってきたところで分かった。狩るのは俺ではない、馬に乗った3人の目の前にいる走っている奴だ。   

 

待ってくれ、こっちに一直線で向かってきている。


正確には走っている奴がこっちに来ているのでそれを追って馬に乗った3人も来ているのだ。


「来ないで、来ないで、来ないでください」


車の中で手を組み祈りのポーズをしながら懇願するが俺の言葉は届かず4人は俺の車を中心にしてお互い距離を保った。

馬に乗った3人は屈強な男で猫耳とかは生えていないようだ。(生えていたら嫌だ)服装は安そうな鉄で急ごしらえで作られたような甲冑だ。所々へこみや傷が見て取れる。腰には剣を帯刀している。

走っていた奴も屈強とは程遠い華奢な身体つきの女の子だった。甲冑や剣は所持しておらず何も持っていない、服は少し薄い色の黄色いワンピースに似た服を着ている。こちらの女の子も獣耳は生えていなかった。

なに?俺はレフェリー?いいぜ闘えよ、ここから遠い場所でな、ファイッ!……早くどっかいけよ!


「車傷つけたりしないよな?」


追いかけられていた女の子よりも愛車の心配をする。


 「何だあれは」


男達は俺の車と車の中にいる俺をじっと見ている。追いかけられていた女の子もバックドアの後方で俺の車を見ている。


(この状況どう打開するんだよ)


そう思った矢先、男の一人が馬から降りて俺の車に近づいてきた。

ドアのロックちゃんと掛かっているよね!?


「これは、鉄か?すごい装甲だ、魔装兵器か?」


男は驚き交じりの声で俺の車のボンネットを触る。


やめろ、触るな、手垢がつくだろ。

男の言葉が通じていることに気づかず愛車の心配をする。


「その鉄も獣人もどきも捕まえようぜ」


残りの2人の男がボンネットに触った男に声をかける。


「俺のグロリアは鉄じゃない!!」


男達の言葉を訂正する。鉄なんかと一緒にしてもらっては困る、これは車だ。そこは譲れない


「だけどこんな大きい鉄どうやって運ぶんだよ。」

「中にいる奴引きずり出せよ」


俺の車を盗む計画を車のドライバーの目の前で練ってる男達はまずは車の中にいる俺を引きずり出そうと考えているようだ。


「マジかよ……」


 バックドアの後方にいる女の子は相変わらず距離を保ったままだ。

男は腰に帯刀した刀を引き抜きドアの向こうの俺に刀を振り上げた。冷汗が背中を伝わるのが感じられる。絶対絶命である。ギャグも浮かんでこない。

やばい――その時動物は大きな音に弱いことを思い出した。迷わずハンドルの中心にあるクラクションを鳴らす。


ピィーーーー!!

けたたましい音が辺り一面に鳴り響いた。それと同時に馬は前足を上げ錯乱する。


「うおっ」


暴れる馬の力に男二人は振り落とされ頭から地面に落ちて動かなくなった。

ドアの前にいた男も突然鉄の塊からの鼓膜を破られるような音に反応し距離を取った。バックドアの後方で距離を取っていた女の子は更に距離を取っていた。


「なんだ!?魔法か!?」


”魔法”というワードが気になったが今はこの状況の打開が最優先だ。ミキトは続けてクラクションを鳴らす。


ビィーーーー!!

再びけたたましい音が鳴るが流石に慣れたのか男は車との距離を詰め刀を車に振り下ろす。


ビュッ


「ガチンッッ」


空を切る音が聞こえたと同時に硬いダイヤモンドをアルミでできた棍棒で殴ったような音がした。


「うおっ」


車に振るった剣からの反動を受け男は一歩後ろに下がる。男の握る剣の刃はもう使い物にならないほど刃こぼれしていた。

車の絶対壊れない能力によって車には傷一つ付かず逆に剣が壊れ、車は守られたのだ。


だがそんなの関係ない、テメーは俺を怒らせた。

愛車に刀を向け振り下ろし、傷つけようとした。絶対に許さん。

車を傷つけようとした男達に怒りを抱きミキトはアクセルを踏み急発進させる。

前にいた馬は車のクラクションの音に驚き既にどこかに行ってしまいもう姿は見えない。前に倒れている男2人を道を走るかのように轢いた後、刃こぼれした刀を持った男に向かって強くアクセルを踏んで発進させる。


「――!」


猛スピードで地を走る鉄に向かって男は何か話し右手を前に突き出してきた。


ボッ!


男の右手が光ったかと思うと男の右手からから炎が出てきた。その炎は意思を持ち車に襲い掛かる。


「うおっ!」


突然のことに反応が遅れたミキトは避ける暇もなく炎に突っ込んだ


ゴドッ


次に鈍い音が車内に響く。炎に驚き目を瞑ってしまった目を開いて目視で車外を確認すると男はグッタリしていた。


「やばい、人を轢いちゃった。免許剥奪だー!」


我に返り自分のしてしまったことに悔やんだ。いくら車を傷つけようとしたとはいえ猛スピードで人を轢いてしまうのはやりすぎた。


「まあ、俺のグロリアに傷をつけようとしたのが悪いよな」


さっきまでの気持ちを棚に上げ自分の合理化をする。やってしまったことは仕方がない。 


「女の子はどこ行ったんだ?」


車に剣を振り下ろされ頭に血が上り男達を車で轢いている隙に逃げたのか女の子の姿は見えなかった。


「とりあえずここから逃げよう」


男達の仲間が他にもいたら大変だ。

 

ミキトはアクセルを踏み目的地も定まらなまま車を走らせた。




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