第21話 オスプレイ
オスプレイの操縦したい
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「お~い!開けてくれ~!」
お詫びの品を手にアリスの屋敷へと帰ってきたミキトだったが門が閉められていた。インターホンもなくこの門から屋敷までは距離がある。声が届くわけがない。
「車で一泊か……」
セグウェイからグロリアに戻した車内で一泊をすることになりそうだ。空には星が輝きだしている。
「屋敷に入れないんじゃ謝罪もできないしな」
諦めて車内で一夜を明かそうとした時またもミキトの頭に妙案が浮かぶ。
「もしかして、オスプレイにもできるのか……?」
考えるよりも早くミキトは行動した。
”オスプレイになれ!”
ミキトの念じに応答し車はどんどん面積を広げ大きくなっていく大きくなりすぎてミキトを巻き込みそうになりながら両翼を形成しプロペラができる。
「すげぇこれがオスプレイ、生で見るのは初めてだ……」
呆気にとられながらオスプレイの外装を見渡す。両翼に着いた大きなプロペラ、尾部には開閉のできる大きな扉があった。
”結構デカい”
オスプレイでなくヘリコプターでよかったかもしれない。
そう思いながらミキトはオスプレイに乗り込む。
頭の中に操縦法が流れ込みミキトは慣れた手つきでオスプレイのコックピットの様々なスイッチを入れていく。
少しずつプロペラが回転し始め空を切る音が大きくなっていく。バラバラとプロペラが高速回転していく。
「少しうるさいな。耳栓でもつけるか」
ミキトは耳栓を召喚し自分の耳に詰め込む。
「一応ヘルメットも着けとくか」
”来い!ヘルメット!”
パイロットヘルメットは召喚できないのでバイクヘルメットで代用する。ミキトは召還した黒いフルフェイスヘルメットを被りポジションを整える。
「侵入開始」
オスプレイの離陸準備は整った。
ミキトは操縦席の真ん中のレバーを握り少しずつ引き寄せる。
オスプレイは垂直離着陸モードで空へ上がっていく
「こいつ・・・動くぞ」
初めてのオスプレイの操縦で興奮気味にミキトは人生で一度は言ってみたいランキング三位のフレーズを口にした。
アリス邸への侵入は簡単だった、もう下にはアリスの屋敷が見える。
「ふはははっ簡単に侵入できるぞ!!」
黒い作務衣に黒いヘルメット、目立たない鼠色のオスプレイ、完全に今のミキトは窃盗団だった。
――「何かしら?この音?」
自室で読書をしていたアリスは屋敷の上から聞こえてくる初めて聞いた音に気づき窓を開ける。
「・・・なに?あれ?」
答える者は居らずアリスは窓から音を出している元凶に目を凝らす。大きな鳥のようにも一瞬見えたが明らかに違う、人工的に作られた物の様に見える。
「魔装兵器?」
オスプレイの知識を持っていないアリスの出した一つの答えは連鎖してもう一つの答えも導く。
「アイツの魔装兵器?」
変形する魔装兵器を持っている一人の男が頭の中で浮かぶ。
「まったく……」
アリスは呆れながら自室を後にし玄関へ向かった。
――「お前、なに普通に私の屋敷に侵入しているのかしら?」
オスプレイをアリス邸の広い庭に着陸させ降りて来るミキトに青筋浮かべながら問い詰める。
「ごめんなさい!許してください!」
漢ミキトは言い訳せずアリスに土下座で謝罪する。
「あれは初めての作業で仕方なかったんです!仕様もわからず力の調整も難しくてあのような結果になりました。今後はこのような事が無いように努めます!だから許してください!」
情けなく長々と言い訳をする。漢ではなかった。
「こちらはお詫びの品です」
「……」
アリスからの返答は無い。
「あれ?ミキトさん、帰ってきたんですか?」
シーナの声が静寂を破った。
「シーナ、あなたは部屋に戻って大丈夫よ。この男はただの侵入者です」
いつの間にかアリスはシーナの事をあなたからシーナと呼ぶようになっていた。
「今度はちゃんとやります!どうか一度だけチャンスをください!」
「……今度は窓を割らない?」
「はいっ割りません!!」
「……いいでしょう、一度だけです感謝しなさい」
「ありがとうございます!」
慈悲深いアリスはミキトの再雇用を認めてくれた。
「じゃあ、早速お前が壊した窓の修理でもしてもらおうかしら」
「窓の修理はした事が無いのですが……」
「修復魔法使えないの?使えないわね、解雇」
「いえ!直ちに取り掛からせていただきます!」
修復魔法なんて使えるわけがない、使えていたら今、此処で土下座していない。
”自分でやればいいじゃん”
雇用主に不満を持ちながらミキトは窓の修理に取り掛かった。




