vs.ミグドリー(4)
もしかしてまだなにかを狙っているのかもしれない。
俺はニャーたちに注意を促そうとしたら魔族がいた場所に巨大な石が飛んでくる。
「へぶっ」
魔族の男の呻き声が聞こえ、飛んできた石に押しつぶされる。
そして、魔族はあっけなく魔石へとその姿を変える。
「あっ、当たっちゃったの?」
石の飛んできた方からニコルの声がした。
「なんか突然爆発して、石がたくさん飛んできたんだよ。せっかくだし、お兄ちゃんの仕返しをしようかと……」
確かにニコルの近くには大きな石がたくさん転がっている。
でも、俺の体格以上の大きさの石だぞ。岩に近いかも……。
そんなものを軽々と投げることができるのか……。
ま、まぁそれがあの魔族のトドメになった訳だし、それはそれでいいよね。
何か企んでいるそぶりもあった訳だし——。
俺は魔族が落とした魔石を拾いながら、一体最後に何をしようとしていたのだろうと考えたが、結論は出なかった。
そして、魔石を取ったあとは隠し部屋で誰もこないということで少しここで休むことにした。
「グラン、大丈夫か?」
「あぁ、何とかな。それにシャルの回復魔法で傷自体は完全に治ってる」
戦闘後、シャルが皆に回復魔法をかけてくれたおかげで俺たちは誰一人傷ついていなかった。
「まだまだ俺も修行が足りないな……」
足を伸ばしながらグランはボソリと呟いた。
「グランがそうなら俺なんてもっと力が足りないだろ。自分一人じゃダメだから仲間を頼るんじゃないか……」
俺がそう言うと後ろでシャルやミーナが頷く。ニャーだけはキョトンとしていたが、いつものことなのでそれは気にしないことにする。
そして、休憩が終わり、ダンジョンから出るために隠し部屋から出て行く。
するとダンジョンの様子が以前の緑生い茂る空間に戻っていた。
やはり以前、ダンジョンの様子がおかしかったのは魔族がこのダンジョンに入ったからか。
まぁ、あの異常な状態の時は魔物が強かったので、魔族の対戦後で疲れている俺たちとしては元に戻るほうがありがたい。
そして、なんとか魔物と遭遇しないように村まで帰ってこれた。
村に戻ってくると真っ先に冒険者組合へと足を運ぶ。
すると、ノービスさんがまっすぐに俺たちのほうへと寄ってくる。
「おい、お前たちがダンジョンから出てくるところを見たというものがいるが、本当なのか? 大丈夫だったのか?」
当然、見ていたものがいるのならそのことを聞いてくるだろう。
魔族がそちらの方に行ったと注意をしていたくらいだからな。
ただ、詳しく聞かれるのも面倒なので俺はノービスさんに魔族が落とした魔石を渡す。




