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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第七章、クドゥの実
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ニコル

「あれっ、どうしたんだ?」



 まだ治ってあまり経ってない。こんなところまで出歩いてきていいのかと不安に思う。



「いや、俺も無理するなと言ったんだが、こいつがな……」

「だって、ボクの病気を治してくれた人だよ? 何か手伝えることは手伝いたいもん」



 そう言ってくれるのは嬉しいが、体調が本当に大丈夫なのか不安になる。

 しかし、【詳細鑑定】の表示は何も出なかった。

 やはり病気は完治しているようだ。


 体が悪かったのもその病気が原因だったわけだし、すぐに治ってもおかしくない……のか?


 普通の風邪とは違うので、急に元気になったことが不思議で仕方ないが、そういうものだと割り切ろう。



「手伝ってくれるのはありがたいが、いいのか?」



 俺はグランに視線を向けながら言うが、返答は少女の方がしてくる。



「うん、もちろんだよ!」



 それにはグランも苦笑いだった。

 ただグランも反対ではないようで、俺の方を向いて一度頷いてくる。




 それならと俺は少女ができることを考える。


 そういえば俺、この子の名前も知らないな。

 【詳細鑑定】って魔物とかの名前は出てくるけど、人の名前は出てこないからなぁ。


 やっぱり働いてもらうなら名前くらい知らないといけないよな。



「じゃあ、まず君の名前を聞いてもいいか? 俺はハクトール。あとは右からシャルロッテ、ニャー、ミーナだ」

「シャルロッテです。シャルって呼んでください」

「ニャーはニャーにゃ」

「私はミーナよ。まぁよろしくね」



 順番に自己紹介をしていく。そして、俺たちが全員終わると次は少女が口を開く。



「ボクはニコルだよ。これからよろしくね」



 軽く頭を下げて笑顔を見せてくれる。

 これで自己紹介は終わったな。さて、ニコルには何をしてもらおうか?




 結局ニコルにはニャーと一緒に鑑定所への呼び込みを任せることとなった。

 というかそれ以外にできることがなかった。


 【鑑定】スキルがあるのは俺とエミルだけ。

 文字が書けるのも俺たちとあとミーナだけ。


 大体必須の仕事はこれらが必要なのであとできること……それは呼び込みしかなかった。


 しかし、それでもニコルは嬉しそうにニャーと駆け回って、冒険者組合に魔石を見せに来る人たちを誘っていた。


 その顔はすごく笑顔だったので俺からは特に何も言わなかった。




 そして、このメンバーで鑑定所を始めて数日……。

 それなりに忙しいものの最初の時ほど人が来なくなり、無理に鑑定所をやらなくてもいいかなと思えてきたとき、ノービスさんが慌てて入ってくる。

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