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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第七章、クドゥの実
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治療

 まずはグランが入り、俺たちも入っていいかを聞いてきてもらう。絶対治せるわけではないことも説明した上で確認してもらったが、すぐにグランが戻ってきて、大丈夫だと言ってくれた。


 中に入るとベッドの上には少しやつれた少女がしんどそうに横になっていた。


 顔色は悪く、明らかに何かの病気ということがわかる。



「俺の妹なんだ。初めはここまでひどくなかったのだが、最近になると急に症状が酷くなってな。なんとか治してやろうとしたのだが……」



 頼みの綱がダメになった以上、藁にもすがる思いなのかもしれない。俺が鑑定で症状がわかるかもと話した時にもすぐに飛びついてきて、その結果、俺たちはここにやってきていた。



「どうだ? 何かわかるか?」



 部屋に入って速攻聞いてくるグラン。



「さすがに【鑑定】するのはこれからだ。少し待ってくれ」



 そわそわして、俺の方を揺すってくるグラン。この状態ではろくに【詳細鑑定】ができない。

 仕方ないので俺はニャーに指示を出す。



「わかったにゃ」



 ニャーがグランの服をつかむとそのまま部屋の外へと投げ捨ててきた。

 そして、誰も部屋に入ってこないようにニャーが見張る。


 これでゆっくりと調べることができる。

 俺は早速この少女に対して【詳細鑑定】を行う。



【光魔法、レベル1】

【自己強化魔法、レベル1】

【魔力過剰供給、レベル9】

【過魔吸病】



 この過魔吸病というのが病気の原因か……。確か、体内に魔力が溜まりすぎる病気——原因はスキル欄にある【魔力過剰供給】だろう。

 これなら魔法を大量に使えば治りそうだけどな。


 もしかしてまだ鑑定を受けていないのかもしれない。

 それを少し聞いてみよう。



「あの……」

「どうかしたの?」



 はきはきとした喋り方。

 しんどそうだけど、意識はしっかりとあるようだし、ここまで喋ることが出来るならすぐにどうにかなることもないだろう。

 これなら安心して聞くことができる。



「君って、鑑定を受けたことない?」

「うん」



 やはりそうか。なら魔法が使えるなんて夢にも思わなかっただろうな。

 そして、使うことのなかった魔力が蓄積されていって、大爆発寸前まで溜め込まれてしまったのだろう。



「じゃあ、俺の言うとおりにしてくれるか? 上手くいけばこれで君の病気が治るかもしれない」

「わかったよ」



 素直に聞いてくれる。もし断られたらどうしようと思ったので一安心だ。



「まず、自分に最大威力の強化魔法を使うと考えてくれ」

「はいー」



 目を閉じ、顔を歪めるほど必死に考えてくれる。

 これで後はスキル自身が教えてくれるだろう。



「あとは頭に浮かんだものを唱えてくれ」

「うん。◯◯◯□、自己強化(セルフバフ)



 無事に魔法は成功する。しかし、一度だけでは過魔吸病は治らない。


 長年の積み重ねなんだ。そう簡単に治るはずもないよな。


 ただ、治し方はそれでいいはずだ。

 あとは全て使い切るまで魔法を唱えさせれば……。



「そのままずっと魔法を使い続けて」

「わかったよ」



 それから少女はしばらく自己強化魔法を使い続けた。

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