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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第七章、クドゥの実
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魔族

 中から出てきたのは冒険者というには綺麗すぎる服装をきた——どちらかと言えば貴族の息子のように見える人だった。

 部屋にいるのはその人だけのようだ。



「あの……、すみません。ここに——」



 クドゥの実があると言おうとしたのだが、この人を【詳細鑑定】してその考えを改めた。



『ミグドリー・アグコート、レベル28』

【魔族】

【白色冒険者、レベル7】

【爪術、レベル15】

【闇魔法、レベル18】



 魔族がどうして冒険者なんか?

 ただこの魔族がクドゥの実を持っているということが問題だった。


 一体人を魔物にしてどうするんだ?



「あの……、何かご用ですか?」



 気弱そうに小さい声で言ってくる。

 【詳細鑑定】がなかったらとても魔族には見えないな。



「いえ、すみません。部屋を間違えたみたいです」

「そうですか、では失礼しますね」



 そういうと魔族の男は部屋の中に入っていった。

 さすがに部屋の中……、いや、村の中で戦ってしまうと被害が大きいし、勝てるかどうかもわからない。


 一度このことはノービスさんと話しあわないと。




 宿から出た後、俺たちは急いで冒険者組合に向かった。

 ちょうど鑑定所の準備を始めていたエミリの側にノービスさんも控えていたので、俺は早速先ほどの出来事を説明する。



「何、魔族だと!? い、いや、そんなはずがない。冒険者組合に入るには念を入れた調査を……」



 特にそんなことされなかったけどなぁ。



「ここではそんなに念を入れた調査をしているのですか? 俺が登録したところでは名前を書くだけでしたよ?」

「あぁ、本当は色々と調べないといけないんだが、最近は予算削減で調べるのをやめているところが多くてな」



 苦虫を潰したような顔で答えるノービスさん。

 その結果が冒険者登録した魔族……なんだからやりきれないだろうな。



「とにかく、その件は一旦俺に任せてくれ。明日から少し探りを入れてみるから、その間はこの鑑定所の護衛ができなくなるが、いいか?」



 魔族の方を優先してもらいたいもんね。ただ、俺たちだけだと前みたいになってしまう可能性があるな。


 俺は隣にいたグランを見て少しニヤける。



「グランも一緒に鑑定所をしようか」

「えっ!?」



 グランが突然話を振られて驚いていた。




 その後、俺たちは自由行動とした。

 というのも明日からは魔族の調査等が終わるまで鑑定所から離れられないからだ。


 ただ、俺はグランとシャルの三人で行動していた。

 グランの知り合いの病気——どういったものかはわからないが、俺の【詳細鑑定】で細かい原因が……、そして、症状次第ではシャルの聖魔法で治せるはずだ。


 シャルのレベルが足りないという可能性もあるけど、たいていの病気なら聖魔法で治せるはずだから……。



「それにしてもこの村まで連れてきているとは思わなかったぞ」

「この村のダンジョンで治せる実があると聞いたからな。なら少しでも早く治すために連れてくるだろ」



 そして、やってきたのは俺たちが泊まっている宿屋だった。

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