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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第六章、エビナフダンジョン
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エビナフダンジョン、第五階層

 グランの状態異常を治した後、あまりこの階層で長居するのもよくないと思い、急いで階段を探した。


 アカラフは俺が思っていた通り弱く、走りながら剣で切りつけると花粉を撒き散らしながら倒すことができた。


 そんな状態で魔石を取ることもできず、状態異常になったものはいないかと【詳細鑑定】で調べながら先に進んでいき、ようやく下へ降りる階段を発見した。




 エビナフダンジョン、第五階層――やはりこの階層も内装は同じだった。

 でも魔物の姿が見えない……。どういうことだ? メルカリの町ならこの階層に強いボスの魔物がいて、その先にワープポイントがあった。

 でもこのダンジョンはどうだろう? それらしい魔物すら見えないのは何だか違和感がある。



「ここが目的の場所だよな?」



 念のためにグランに確認する。



「あぁ、そのはずだ……が、どういうことだ?」



 魔物がいないのはまぁ良いとして、目的だった実がないのはどういうことだ?

 グランも首を傾げている。



「まぁ、とりあえず探してみようか」



 俺がそう提案してみるとグランも頷いてくれる。




 それからしばらくは五階層を探し回った。

 ただここは本当に何もないようだ。どこかに隠された部屋とかそういったものがあるかもとことあるごとに【詳細鑑定】を使っていたが、何も見つからなかった。



「これ以上ここにいても仕方ないよな?」



 グランを見ながら言う。グランはまだ調べてみたそうにしていたが、俺が【鑑定】スキル持ちなのは知っている。

 その俺がはっきりと言ったのだから間違いないのだろうとグランも感じていたようだ。



「本当にどういうことだ?」



 首をかしげるグランと共に俺たちは更に下の階層へと向かっていった。




 エビナフダンジョン、地下六階層——ここまで来ても目の前の風景は見慣れたものだった。

 ただこの階層も魔物の姿が見えない。この状態は異常としか思えない。



「グラン、これはおかしいぞ」

「あぁ、そうだな」



 さすがにこれは一度戻った方がいいだろう。



「とりあえず戻ろう」



 それだけ言うと元の階段の位置まで戻ってくる……が。



「あれっ、階段がないぞ?」



 その場所に階段はなく、ただ壁があるだけだった。


 これは……下に降りること自体が罠だったのか?


 軽く叩いた感じだと普通の壁のようだ。

 【詳細鑑定】をしてみる。



『生きてる壁』



 壁自体が生きているようだ。なら、強い衝撃を与えたらもしかして……。



「シャル、ここに全力で魔法を放ってくれるか?」

「えっ、いいのですか?」



 普段は極力シャルの魔法は控えさせている。しかし、今この状態なら仕方ないよな。



「あぁ、全力で頼む」



 そして、シャルが全力で壁へと魔法を放った。その衝撃で壊れた壁の向こうに階段が見える。


 よし、上手くいった。

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