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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第六章、エビナフダンジョン
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グランvs.ハク

 翌朝、俺たちは冒険者組合の側の広場にやってきた。

 昨日誘われた一対一の勝負。当然あの後にミーナとシャルからは心配された。


 彼女らは実際にダンジョンの中で俺の実力を見てるからなぁ。【詳細鑑定】を生かした後方支援がメインなわけだし、仕方ないか。


 それにしてもただの広場だけあって石や雑草なんかがそのまま残っている。これは仕方ないことかもしれないが、こけたときに石が当たると痛そうだな。


 そんなことを考えながらグランの前に立つ。



「準備はいいか? ルールは何をしても構わないから相手に一撃当てた方が勝ち。それでいいか?」

「あぁ、それでいいぞ」



 どうせすぐに負けるんだ。木剣の方に目を落とした時にとある草に目がいく。



『ツタの草』

【捕縛、レベル1】



 確か衝撃を与えると絡みついてくる草……。

 いや、ちょっと待てよ。これを使えばもしかしたら……。


 うまくいくかはわからないが元々負けしかなかったんだ。

 可能性が上がるなら試してみよう。


 俺はゆっくり木剣を構えるとまっすぐグランを見る。


 【詳細鑑定】を常に開き、少しでも隙がないかと確認する。

 しかし、今のグランには隙など——。



「ハクー、負けたら承知しないわよー」



 後ろからミーナの声が聞こえる。とその瞬間に【詳細鑑定】の画面に新しい文字が浮かび上がる。



【胸に弱い】



 よく見るとグランの視線はミーナの胸の方に吸い寄せられていた。


 ……。


 俺は呆れ顔になり、目を細める。



「ち、ち、違うんだ。これは決して……、その……、やましい理由など……」



 俺に見られていると気づいたグランが慌てて言い訳をする。さすがにそれでごまかされない。ミーナも冷たい視線を送っていた。


 慌てふためいているからか、木槍を持つ手に力が入っていない。今がチャンスか?



「おい、それより早く始めるぞ!」

「あ、あぁ、わかった。それじゃあ開始だ」



 俺の言葉に反応して慌てて言うグラン。

 やはり動揺を隠しきれないようで前に一緒に戦った時ほどの力がない。戦闘スキルがない俺でも十分に対応できるほどだ。


 グランが振りかぶって叩きつけるように槍を振るってくる。


 あんなに隙の大きい攻撃。前までしなかったのにな……。


 俺はグランの攻撃を余裕を持ってかわすとツタの草を踏まないように気をつけて下がる。


 なんでそこまで焦っているのかはわからないが、グランは周囲の様子を見ようともせずにそのまま俺を追いかけてくる。


 そして、槍を突き出してこようとするが、その瞬間にツタの草を踏み、足に絡まっていた。



「なっ!?」



 動きを止められたのは一瞬だったもののグランの顔に動揺が浮かぶ。

 俺もその隙を突くように木剣をまっすぐ前に突き出す。


 そして、それは軽くグランが着ている鎧に当たる。

 小石でも当たったかのような小さい音。

 実戦では傷一つ付けられていないだろう。


 しかし、ルールはルールだ。

 グランは地面に手をつけて悔しがっていた。

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