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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第六章、エビナフダンジョン
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臨時鑑定所開始

 再び受付のある部屋に戻ってきた俺たちは、その側にある階段を上り、上の部屋に案内してもらった。


 そして、「この部屋を自由に使ってくれ」というと組合長は出て行った。


 案内された部屋は十二畳程度であまり広くないとはいえ、臨時で鑑定所を開くには十分すぎるほどだった。


 また、受付のお姉さんが言うには余ってるテーブルや椅子も使わせてもらえることになったので、俺たちに準備するものは本当に何もなかった。


 それらを並べ直すと役割分担を考える。


 順番の管理はミーナに任せるしかないか。

 紙は二枚、普通にお金を払ってくれた人用と実を渡してくれた人用を準備するとして、そこに文字が書ける人でないと順番を管理出来ない。

 ニャーは奴隷だったことを考えるとまず出来ないだろう。


 俺が視線を送るとニャーは嬉しそうに笑顔を返してくれる。


 シャルは孤児院育ちということで書けないと踏んだが、もしかして書ける可能性も残されているな。



「シャルって文字を書けるか?」

「わ、私は誰にも教わらなくて……」



 うん、やっぱり書けないようだ。



「私なら書けるわよ」



 嬉しそうに答えるミーナ。まぁ貴族であることを考えるとそれは当然であろう。

 ただ、あまりに嬉しそうにしているので、褒めるついでに軽く頭を撫でておく。


 すると、体を震わせ、一瞬飛び上がりそうになるほど驚くミーナ。

 いきなり過ぎたかと反省し、手を離すと「あっ……」と小さな声をあげて寂しそうな表情を見せてくる。




 必要なテーブルや椅子を運び、準備を終えると明日から臨時で不定期に鑑定所を開くということを書いた紙を冒険者組合の一階に貼ってもいいかと聞きに行く。



「えぇ、ハクトール様の鑑定所には極力協力しろとのお言葉ですので、そのくらいのことでしたらお好きにどうぞ。私どもでも鑑定をお希望の方にはハクトール様の事を勧めさせてもらう手筈になっております」



 いたせりつくせりだな。所場代も決して多く払うわけではない。いや、あの割合でも十分儲けられると踏んでいるのか?


 とにかく開いてみないことにはわからない。

 俺は受付のお姉さんにお礼を言うと宿へと戻っていった。




 そして、翌日。

 冒険者組合へとやってきた俺たちは驚かされた。

 準備もあるからと鑑定所を開く一時間前に冒険者組合へとやってきたのだが、すでに冒険者組合には入りきらないほどの人が並んでいた。


 慌てふためく職員の人たち。

 これほどまで【鑑定】したい人たちがいたんだ。


 まぁ慌てふためいている原因の一つが待っている人たちが酒を飲み、宴会を始めていたことにあるが……。


 何とか人を押しのけて二階へと行こうとする。

 すると、見覚えのある少女が俺たちを呼んだ。



「おにいさんたちも【鑑定】受けに来たのですか? よその鑑定所なら数十日待ちなのが、ここならまだ始まったばかりで、しかも、値段も格安ですからね」



 格安? 一般的な鑑定所の値段だぞ?



「いや、俺たちは別のようだな。とにかく上に行かないと……」



 少女に別れを告げると必死になって臨時鑑定所の部屋までたどり着く。

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