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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第六章、エビナフダンジョン
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臨時鑑定所

 振り向いてきた冒険者たちに突然囲まれる俺たち。

 その異常な様子にシャルは怯え、ニャーが俺の前に庇うように立つ。



「あんた、【鑑定】が使えるならこんなところに来てないで鑑定所を開いてくれ! 今、シャーロッテの村は鑑定者が不足してるんだ! せっかくスキルを得ても【鑑定】で順番待ちをする羽目になるんだ」



 そっか……。スキルを得たかどうか調べるのに鑑定所に行かないとダメなんだもんな。なら今はそちらをしたほうがお金は稼げる?

 いや、それだとここでとれる実が手に入らない。

 ……ちょっと待てよ。何も【鑑定】をするのにお金を取らなくてもいいんだな。


 【鑑定】するのに順番待ちをしなければならない現状を考えると……例えば【鑑定】の順番を最優先にする代わりに実を貰う……というのはどうだろう?


 お金でする人は普通に順番待ちをしてもらう……。


 これなら急ぎでたくさん実が取れた人なら……うん、いけそうだ。



「よし、シャル、ミーナ、ニャー、戻るぞ!」



 不敵に細く笑む俺を見てシャルとニャーは首を傾げる。

 ミーナは反発気味だ。



「どうしてよ! 早く実を集めないと!」

「いや、もっと簡単に集められる方法を思いついた。そのために一度町に戻らないと」



 それを聞いたミーナは訝しみながらも渋々従ってくれる。




 そして、俺たちは冒険者組合へと戻ってきた。

 鑑定所を開くためには場所が必要だからな。


 そのことを受付のお姉さんに相談してみる。



「本当に鑑定所を開いてくださるのですか?」



 どうやら鑑定者が足りないというのは本当のことのようだ。

 俺がそのことを話すと諸手を挙げて歓迎される。



「そうですね、少しお待ちいただけますか?」



 そして、お姉さんは奥の部屋に入っていった。




 しばらく待つとお姉さんが俺たちも奥に入るように言ってくる。


 案内されるがままについていくとある部屋の中に入るように言われる。そこには筋骨隆々の……俺から見てもはっきりと強いとわかるほどのオーラを放った人物が椅子に座っていた。



「こいつが鑑定所を開いてくれるのか?」

「はい、そうです」



 男の人が立ち上がり、俺に近づいてきて手を掴むと激しく握手をしてくる。



「俺はノービス。このシャーロッテの冒険者組合を任されてる組合長だ。それであんたは?」

「俺はハクトール。今は冒険者をしているが、元は鑑定所で働いていたこともある」

「おっ、それは助かるな。でも、鑑定所勤務から冒険者に変わったってことはそれなりの理由があるんだろう? なんで今更鑑定所を開くんだ?」



 確かにその疑問ももっともだろう。

 俺もこの町で取れる実のことがなかったら鑑定所なんて開かなかったからな。


 俺はノービスさんに先ほど思いついた実を払ってくれた人に【鑑定】の優先権を渡すということとそれ以外のお金は一般的な鑑定所に準じること、あとはあくまでも臨時なので毎日開くわけではないということを説明した。


 それを聞いてノービスさんは笑い声を上げる。



「わかった、わかった。確かにそれはいい考えだ。よし、それなら所場代として稼いだ一割を貰うという条件ならこの建物の二階を貸そう。待ち人はこの一階で待たせるといい。基本冒険者組合の一階は酒場も経営してるからそっちでも稼げるだろう」



 ノービスさんはニヤリと微笑む。

 確かにどれだけ稼げるかわからない以上、決まった額よりそういった割合で渡すほうが助かるかもしれない。


 話がまとまった以上、早速俺は二階の部屋に案内してもらう。

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