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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第五章、新しい家と新たな仲間
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曰く付きの家

 扉を開けて中を見てみると、少し埃っぽいがそれなりに広いホールが現れる。

 本当にこんな家を買えるのだろうか?

 場所を間違えたのではないかと一緒についてきたまだ青年になったばかりであろう、若い不動産屋さんの顔を見る。


 きょとんとした様子で俺を見てきてることからどうやらここで間違いないようだ。


 俺たち四人で住んでもまだ部屋が余りそうなほど、広い屋敷。早速中に入って部屋を見ていく。

 こういった広い家に住めるかもしれないと乗り気のシャルを先頭に俺たちは家の中に入っていった。


 眺めていった部屋には家具もそのままに置かれていた。

 高級そうなテーブルやイス、個室にはベッドやなぜか可愛らしい少女の人形なんかも置かれていた。



「この家具は?」

「一応付属品になります。いらないようでしたら処分しますが?」



 これはそのまま使って良いようだった。

 ここまでいたせりつくせりなのは何だか理由がありそうだな。


 念のために俺は不動産屋さんに聞いてみる。



「この物件、何か曰く付きのものではありませんよね」



 それを聞いたとたんに不動産屋さんの顔が固まる。

 うん、それだけでわかった。



「さすがに曰く付きの物件には住めないな。別の所に案内してくれ」

「ちょ、ちょっと待ってください! 曰く付きと言ってもただ、夜中に何かねじが巻かれるような音がするとか、喋るような声が聞こえるとか、歩く音が聞こえるとかそういったことだけなんですよ」



 ちょっとどころか完全にアウトの物件だった。

 そんな部屋で眠ることを想像したのか、シャルは肩を震わして俺の服の裾をつかんできていた。


 ただ、あとの二人はケロッとしている。



「ニャーとミーナは怖くないのか?」

「にゃ? 特に気配も感じないし大丈夫にゃ」

「私も話だけで怖がるなんてそんなことしないわよ」



 いや、ミーナは口では強がっているが、目の奥には少し涙を溜め、足が小さく震えている。

 本当は怖いのだろうな。

 二人も怖がっているならとてもじゃないが、住めない。



「やっぱり別の物件に……」



 案内してくれと言おうとした時に何かの気配を感じる。

 突然何かに肩を掴まれたような……でも、今俺をつかんでいるのは、シャルだけだ。誰も肩を掴んでいない。


 念のために【詳細鑑定】を発動させ、ぐるっと辺りを見ていく。

 ゆっくりと家具の一つ一つを確認していく。

 しかし、リビングに置かれているテーブルやイスからは特に変わった結果は出なかった。



「あの……何されているのでしょうか?」



 不安げに聞いてくる不動産屋さん。



「俺のスキルで何か変なものがいないか調べているんだ」

「まさか、【浄化】のスキルを!?」



 【浄化】、悪霊なんかを倒せる魔法スキルだ。聖魔法と違い、悪霊を倒すことに特化しているのが特徴の魔法だったな。



「いや、俺にできることは調べるだけだ」



 そう言って、一部屋、また一部屋と順次調べていく。

 やはり先ほどの気配は気のせいだったのだろうか?

 最後の一部屋となった時には、その気持ちが強くなっていた。


 しかし、扉を開けた瞬間、俺の【詳細鑑定】が弾かれた。



「な、なんだ!?」



 あまりに突然の出来事で訳も分からずに困惑する。

 するとシャルの震えが大きくなり、何かを指差していた。


 俺はもう一度その先を、今度は【詳細鑑定】なしで見てみる。


 普通の部屋だな。ただ、この部屋だけ少女の人形が置かれている。……んっ、もしかして、あれが原因か!?


 俺はもう一度、今度は人形に向けて【詳細鑑定】を使ってみる。

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