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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第四章、冒険者組合の依頼
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斧使いのランドルフ

「おいおい、こんな奴らが魔族を倒したってんなら俺たちにだって倒せたはずだ!」



 声高らかにいうのは、斧を背中に担いだ大男。下に短パンを履いているものの上に服は着ておらず、斧を背負うための紐だけをつけている。そんな男だった。


 髪はボサボサで口元には全く手入れされていないヒゲが乱雑に生えている。

 そして、所々についている傷が長年冒険者としてやり過ごしてきた証のように思える。


 とにかく見た目はすごく強そうだ。


 そう感じ【詳細鑑定】を使う。



【白色冒険者証、レベル4】

【斧術、レベル3】

【怪力、レベル2】

【1撃が強い】

【動きが遅い】



 あれっ? 思ったほどではない?

 そういえば地下十一階層に潜れる人たちは別ダンジョンへ行ってるって言ってたな。

 ここ最近強い魔物たちと戦ったからか、その数字を見た瞬間に気が抜けた。


 このくらいの人なら問題ないだろうな……。


 俺は絡んできた人を無視して冒険者組合から出ようとするが、その途中で肩を掴まれる。



「おい、俺の話を聞いてるか!? お前程度がそんな強い奴を相手にできるはずないと言ってるんだ! どんな卑怯な手を使ったんだ」



 卑怯な手……相手の姿が見えないうちに攻撃するのは確かに卑怯だけど、魔物相手にそんなことを言っても仕方ないだろう。


 しかし、男の手は【怪力】スキル持ちということもあり、簡単に剥がすことはできなかった。



「どうすれば納得してくれるのですか?」



 仕方なく俺はその男の人に聞いてみる。



「勝負だ!」

「それならご主人様が出るまでもないにゃ。ニャーが相手をするにゃ」



 ニャーがその男の人を睨みつける。



「主人に手を出すならまずは奴隷を相手にしろということか。まぁ当然だろうな。わかった、それでいいぜ。せいぜい吠え面をかかないように気をつけな」



 辺りに男の笑い声が響き渡る。



「ふぅ……、そういうことでしたらこの建物の地下をお使いください。訓練所となっておりますので」



 受付のお姉さんがため息まじりに言ってくる。

 ここで暴れられるよりいいと思ったのだろう。



「じゃあ遠慮なく借りるぜ」



 男が笑いながら先に地下へと降りていく。

 それに続くように俺たちも降りていく。




 地下は石造りで二十平米程の広さがあった。

 訓練所としてなら十分すぎる広さだ。

 そこで向かい合うように立つ男とニャー。



「そういえばまだ名乗ってなかったな。俺はランドルフだ。よく覚えておきな!」



 それだけ言うと合図も何もしていないのに、背負った斧を手に持って襲いかかってくる。


 しかし、その動きはあまり速くなく、振りかぶった斧をニャーはあっさりとかわしてしまう。



「避けるな!」



 いやいや、避けるでしょ!

 わざわざ自分から斧に当たりにくる人なんていないぞ。


 ただ、俺でも捉えられるその速度……ニャーはどう対応していいか迷い、何度も俺の方を見てきていた。


 まぁ、向こうからふっかけてきたわけだし、懲らしめる的な意味も込めて圧倒してもらおうか。


 俺はニャーに好きに戦ってもいいと合図を送っておく。

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