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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第四章、冒険者組合の依頼
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魔族の男

〈魔族の男視点〉


 ふっはっはっはっ……。


 ビッグアリゲーターの報告によると生贄にするだけの人間が集まったようだ。

 私はこの報告を聞いて笑いが止まらなかった。


 わざわざ私直々に育て上げたビッグアリゲーターをダンジョンの低層に放った甲斐があったというものだ。


 並大抵の人間ではやつには勝てないだろう。

 ただ、少しお頭が弱いのが難点だが、それでも単純な命令くらいなら実行できる。



 今回私が命令したのは二つ。

⚪︎生贄となる人間を集めろ

⚪︎反抗してくるやつ以外は殺すな



 ということだ。

 どうしても高位なものを復活させるのに複数の魂がいるからな。

 魔王様……かつてこの世界に君臨した魔族の王。


 かの者を復活させ、このようなダンジョンから魔族を解き放つ。

 それがいよいよ叶いそうなのだ。


 そして、私は魔王様を復活させたとなれば重く取り立ててもらえるだろう。

 それを考えると再び笑みがこみ上げてくる。


 そして集めた人間どもの場所までビッグアリゲーターに案内させる。図体ばかりデカイ奴に背負われて、ゆっくりとダンジョン内を闊歩していく。


 もうすぐだ! もうすぐ私の望みが……。


 目の前に私が準備した隠し通路が見えてくる。


 思わず高笑いしそうになったその時、突然超高威力の魔法が襲いかかってくる。

 その激しい痛みにより、思わず声を上げる。しかし、体は耐えきれず、ついには消滅してしまう。




〈ハク視点〉


 シャルの攻撃は見事にビッグアリゲーターに直撃する。

 ただ、ミーナがなんども強化魔法をかけていたこと、それとシャルが持ちうる最高の威力の魔法を放ったこともあり、目の前にはビッグアリゲーターがいたという痕跡すら残っていなかった。


 なにか人のような叫び声も聞こえてきた気がしたので、俺は念には念を入れてビッグアリゲーターのそばを見て回るがそれらしきものとかは落ちていなくて安心した。


 じゃああの声はなんだったのだろう?


 不思議に思っていると落ちている魔石が二つだったことに気付く。

 もしかすると、別の魔物も巻き込まれたのかな?

 それが一番しっくりとくる回答だった。


 そして、無事にビッグアリゲーターを倒した俺たちは再び隠し通路の中を入っていき、中で囚われていた人達に魔石を見せながら話しかける。



「ビッグアリゲーターは俺たちが倒しました。もう、何も心配しなくても大丈夫ですよ。安心して出て来てください」



 ただ、口だけでは半信半疑の様子だった。

 しかし、俺たちが捜索を頼まれた行方不明の少女が恐る恐る魔石に近づいてきて、それをじっくり見ると驚きの表情を浮かべながら言う。



「これだけ大きな魔石……私も見たことないかも。相当強い魔物を倒した証だよ」



 俺の言うことは信じられないようだったが、この少女の言うことは信じられるようだった。

 それを聞いた人達は歓声を上げ、我先にとこの部屋から抜け出していった。


 そして、最後には俺たちが探しに来た少女がただ一人残っていた。



「お兄さんたち、ありがとうね」



 少女は笑顔を見せ、お礼を言ってくる。

 それを見た俺たちは少し安堵の表情を浮かべた。


 なんとか助けることが出来た……。

 本当にシャルのおかげだな……。

誤字報告ありがとうございます。少し直すのが遅れそうです。申し訳ありません。

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