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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第四章、冒険者組合の依頼
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行方不明の人

 少し開けた空間には魔物の姿はなく、なぜか何人もの人たちがそこに囚われていた。

 行方不明となっていた冒険者の少女の姿も見受けられる。



「あ、あなたは?」



 近くにいた女性が聞いてくる。



「俺は行方不明になった……」



 そこで顔の絵はもらったが名前まで聞いていなかったことに気づいた。

 仕方ないのでもらった絵を見せる。



「この少女を探しに来たんだ」



 それを見た冒険者の少女の顔は驚きへと変わる。

 そして、すぐに絶望へと変わる。



「ダメですよ……」

「どうしてだ?」

「あの魔物……見たでしょう。私たちなんかじゃ歯が立たないんですよ。何人も逃げようとしたのですけど、その結果……」



 少女が奥を指差す。そこには白骨化した骨が転がっていた。

 つまり、逃げたら殺されるという意味なのだろう。



「幸いなことにここに留まっていればあの魔物も手は出さないんですよ。だから、私たちのことは置いていってください……」



 つまりあの魔物を倒すまではここから逃げることはしてくれないのか。

 さすがにまともにやりあって倒せるとは思わない。

 でも、何とかしないといつかはこの人たちも……。


 俺は白骨化した遺体を眺めながら、悔しさに口をかみしめた。




 俺たちは再び通路の方へと戻ってきた。


 隠し通路には最初置いてあったとおりに岩を動かしておいた。



「ハクさん……、どうしますか? あの人達……」

「何度か目の前で人が殺されるのを見たんだろうな。恐怖で動けなくなってるんだ。ならあそこから離れてもらうにはビッグアリゲーターを倒すしかないな」

「倒せるの?」

「シャルの魔法ならなんとか行けるとは思うが……正直どうなるかはわからないな」



 レベル【25】でスキルも豊富に揃っているやつの相手なんてすすんでしたくない。

 幸いなことに前に【詳細鑑定】をしたときに【魔法全般に弱い】という表示が見えたのが幸いだ。

 うまくいけばシャルの魔法で一発かもしれないからな。



「よし、とりあえずミーナはありったけの強化魔法をシャルにかけてくれ! 俺たちはビッグアリゲーターが帰ってくるのを監視だ!」



 それだけ言うとニャーと一緒に周囲の観察を始める。




 一体人を集めてあいつは何をしていたのだろうか?

 不思議に思っているとまたビッグアリゲーターが戻ってきた。今回はダンジョン内を捜索していたわけじゃないのか、やけに帰ってくるのが早かった。


 もしかして、中での説得に時間をかけていたら俺たちも見つかったかもしれない。


 少し安心しながら様子を窺う。


 今回は周囲を見渡したり、といった動作をしていない。ただ、何度か背中の方へと顔を向けていた。


 そして、まっすぐに隠し通路へと向かっていっているが、何が理由があるのだろうか?


 俺はシャルの顔を軽く見ると、小さく頷いてくれた。

 もう準備ができているということか。

 それならと俺は小声でいう。



「シャルはあいつに全力で魔法を放ってくれ。一発で倒せないようならそれを何度か繰り返して……。俺たちはシャルが攻撃を受けないようにフォローする」

「わ、わかりました」


 顔は少し強張っているもののやる気を見せてくれるシャル。

 しばらくダンジョンに潜ってたおかげで自信がついてきたのだろう。

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