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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第四章、冒険者組合の依頼
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隠し通路

 その時、ビッグアリゲーターが何かを探しているような気がした。

 そういえば初めて遭遇した時も何かをひっきりなしに探している素振りを見せていた。


 もしかして、この魔物が行方不明の人と関係あるのか? 魔物なのに殺さずに誘拐とかあり得るのだろうか?

 下手に勘ぐって気づかれでもしたらレベルの差的にも俺たちに勝ち目は……シャル次第になるだろう。


 それでも俺はこの考えが合ってるような気がしてならなかった。



「ミーナ、強化魔法の中に気配を消すような魔法って?」

「さすがにそういった魔法はないわね」



 もしかしたらと思って聞いてみるが、残念ながらないらしい。

 なら仕方ないか。

 俺は覚悟を決めて、気づかれないように一定距離を空けながらビッグアリゲーターの後ろについていく。


 たまに振り返ってくるが、ニャーが絶妙のタイミングで指示を出してくれるのでビッグアリゲーターに見つかることはなく、追いかけることができた。


 そして、ビッグアリゲーターの住処らしい場所にたどり着く。そこは俺が書いたこの階層の地図には載っていない、岩のようなもので隠されていた場所だった。


 その奥まではさすがに見ることはできなかった。ただ、これほど怪しい場所だ。この奥に行方不明の人がいる可能性はあるだろう。


 その中に入っていったビッグアリゲーターが再び出て行くのを待つしかないな。


 俺たちは少し大きい岩陰に隠れると交代でビッグアリゲーターが出てこないかを監視する。

 そして、残りは休憩して過ごす。



「あの中にいるの?」



 ミーナが聞いてくる。



「まだわからない。でも、この階層で探していないのはあそこだけだからな。もしいなかったら一度町に戻ろう」



 さすがに何の情報もないまま十二階層も探すだけの余裕はなかった。



「一応シャルはいつでも魔法を撃てるようにしておいてくれ。ミーナはシャルの魔法強化を頼む。大丈夫だとは思うが、もしビッグアリゲーターと戦うことになったらシャルの攻撃が全てになるからな」

「うん、任せておいて」



 自信ありげにいうミーナ。その反面、シャルは緊張で押しつぶされそうになっている。

 俺は緊張をほぐす意味でシャルの肩を軽く叩く。



「大丈夫だ。シャルは俺の指示に従ってくれたらいい。俺に任せろ」



 笑顔をシャルに向けるとシャルもぎこちないながらも笑顔を見せてくれる。これでもう大丈夫だろう。



「出てきたにゃ」



 見張りをしてくれていたニャーが言ってくる。

 俺たちは声を落とし、様子を確認する。

 確かにビッグアリゲーターが通路から出てくると、わざわざその通路に岩を置き、のっそのっそとゆっくり歩いてどこかへ向かっていった。



「よし、行くぞ!」



 俺は皆を見渡して頷くのを確認してから通路の方へと向かっていく。

 俺一人で岩を運ぶには重かったので、ニャーにも手伝ってもらい、二人で何とか岩を押す。

 そして、何とか一人ずつなら通れる程度の隙間を作ることができた。


 何があるかわからないので先頭はニャーに任せる。

 ニャーならいきなり襲われるということはないだろう。そして、間にミーナとシャルを挟み、俺が最後に入っていく。


 いつもなら前の方を集中していれば良かったが、今回は後ろから急にビッグアリゲーターに襲われる可能性もある。それを警戒して、俺が目を光らせていた。


 ニャーほどの察知能力はないものの【詳細鑑定】を利用した索敵はシャルやミーナには負けないと自負していた。


 しかし、何事もなく通路を抜けると少し広い空間へと出てきた。

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